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サッカーブログです。

〜わかりやすく個VS組織〜 2017 J2リーグ 第18節 京都サンガ VS 町田ゼルビア

町田ゼルビアはクラブの規模でいうと下から数えた方が早いくらいだけれど、
それでもJ2をしっかり戦える力を持っている。
その原動力はやはり相馬監督でしょう。
川崎で一度失敗があったけれども、統率のとれた4−4−2によるゾーンディフェンスを使いこなし、
組織として戦えるチームを作り上げています。
今年のJ2は良い監督が多いですが、相馬監督もその一人。
これからの活躍も期待したい監督さんです。

一方で京都サンガ
負け無し記録は続いているけれども連勝はなく。
波に乗れそうで乗れないじれったい状態。
けが人が多く戦術的な選手の使い方もできず、実は綱渡りをしているのかも知れない・
前節から左SBは湯沢。ボランチには染谷が入った。どうしたこれは。ボランチがもういないのか。


◆ツインタワーを封じる町田の策
京都の誇るツインタワー。闘莉王とオリス。
ヘディングの高さを強さを併せ持つこのツートップは相手にとっては対応したくても対応できない、
京都にとっては強力な武器です。

対応に苦労するチームが多い中、町田ゼルビアは思い切った策でツインタワーを封じ込もうとしてきました。
その策とはラインコントロール

・相手が前を向いて自由にボールを出せる、ONの状態の時にはラインを下げる。
・プレスがかかっている、後ろ向きになったなど、精度のあるパスを出せないOFFの時にはラインを上げる。
ラインコントロールの基本ルールはこの2つですが、
町田はこのルールをしっかり守り、規律の取れた動きでラインをコントロールしていました。

この町田のラインコントロールによって京都のツインタワーは大きく動きを制限されてしまいます。

ツインタワーというだけ高さには強みを見せるものの、スピードはそれほどありません。
2人は町田のラインコントロールについていけず、オフサイドポジションに追いやられたり、
良い体勢でヘディングのできるポジションがとれず、全く強みを活かせない状態に陥りました。

またラインを高く維持することによって、クロスを上げられてもゴールから遠い位置でヘディングさせる事にもなります。

ヘディングの強い闘莉王とはいえ、エリアに入ったあたりからシュートを決めるのは難しいですね。

高さで分が悪いのならばラインコントロールを使って仕事場から追い出してしまえばいい。
面白い発想です。ただ面白いだけではなく、見事に実践することによって前半は完全に町田のペースでした。

京都はこれといった打開策を見つけられずに時間だけが過ぎていました。




◆京都が放つ第2の矢
ハーフタイムを挟み後半。
町田のラインコントロールを破るべく、リードされた京都は反撃の策を打ちます。

ツインタワーをあえて囮として使い、オフサイドをとるために町田がラインを上げたところを
2列目の小屋松、岩崎のスピードで勝負させます。

動画で分かるように、小屋松と岩崎の飛び出しに合わせてパスを送るのではなく、
アバウトでもとにかくラインの裏にボールを送り、その後に2人に追いかけさせる形になります。
ちょっと乱暴なやり方ですが(笑)これが面白いように決まります。
町田のDFラインは単純なスピードはそれほどもなく、あっという間に置いていかれる場面が何度もありました。

この裏抜けが直接ゴールにつながったわけではないのですが、
裏を気にし始めた町田のDFラインが徐々に乱れ始め隙ができたことにより
2つのゴールが生まれ、京都が逆転に成功します。

高さを封じられたとしても、今度はスピードでかき回される。
京都の前4人の攻撃はほんとに強力ですね。
相手からしたら対処不能のハメ技を食らっているようなもんでしょう。


◆京都のプランはどうだったのか。
結果を先に言ってしまうと、終了間際に町田が得点して2−2の引き分けで試合は終わりました。
京都側からすると、どうして逆転したまま試合は終われなかったのか?
というのがやはり気になります。
試合をあとで見直してみると、京都は逆転したあとさらに追加点を狙っているように見えました。
ただし攻撃性をもっていたのが前線の選手だけど、後方の選手はどちらかと言うと引いて守りたがっているように思えました。
結果的に全体に間延びしカウンターの打ち合いのようなオープンな展開になり、町田の得点につながってしまったのでは無いかと考えます。
2−1と逆転した後、残り時間をチームとしてどうするのか?
チームの意思統一が図れて居なかったんじゃないですかね。

これで11試合無敗という記録を作っていますが、引き分けが多く連勝もありません。
安定して勝ちが重ねられないのは、この場面ではこうする、こういう展開では次にこうやる。
チームとして何をするのか統一できずに曖昧な部分をつかれているんでしょう。
魂は細部に宿ると言いますが、そういうことなんじゃないでしょうか。


◆ひとりごと
これまでも引き分けは多かったけど、特にこの試合の引き分けは堪えるものがありました。
こうも露骨に組織力の差を見せられてしまうと、やっぱりだめなのかなぁと嫌でも頭に浮かんでしまう。
これから夏場になり消耗も出てくると、今のスタメン以外の選手を用意できないのが効いてきそう。
個でがんばれるのもここらへんかも。