はじめに
ポジショナルプレーという用語を初めて目にしたのはこの記事でした。
サッカーの世界で何が起こっているんだ!?と、驚いたことを覚えています。ここからバイエルンやマンチェスター・シティ、要するにグアルディオラのチームが、どうしてあれほど圧倒的なサッカーを見せるのか。どんな発想でチームが作られているのか。その訳を知るために調べるようになりました。
これからポジショナルプレーの色々を書いていきます。誰かに教えを請うた訳でもなく、様々な文献やら解説記事などを読んで考えて、自分なりに導きだしたものです。これが正解だ!と決して言うつもりもなく、あくまでも一個人としての所見です。
こうして予防線を張っているのには訳があり、書いてること全然ちがうやん!とグアルディオラやリージョに怒られてしまう可能性があるからです。
ポジショナルプレーって何なのさ
まず話しておかないといけないのは、ポジショナルプレーとはピッチ上で表現される戦術やプレー自体を指す言葉ではないということです。僕もたまにカッコつけて使ったりしますが、
試合見返してるけど、一点目完璧やな。3バックで時間作って、相手を右サイドに寄せてからサイドチェンジ。ライン間で前向いて一番外でシュート。ポジショナルプレー。
— とめ@はんなりサッカー (@tome_beta) July 20, 2019
こういう使い方はほんとは正しくないです。
より正しい表現に近づけると、
「ポジショナルプレーから生み出された戦術をピッチ上で表現してゴールを決めた。チームを組み立てた指導者だけでなく、実行した選手も素晴らしい!」
こんな風になると思います。
ポジショナル「プレー」と言いつつプレーじゃない。じゃあどういうことなの?となる訳ですが、書籍「ポジショナルプレーのすべて」では次の様に説明されています。
この「枠組み」という表現は、適切にポジショナルプレーを言い表している。あくまでも、ポジショナルプレーは概念だからだ。
ポジショナルプレーは戦術に該当しない。配置論としての戦術における原則を定めるポジショナルプレーは、さらに上位の階層に位置している。ポジショナルプレーは、様々な戦術を正しく機能する基本的なルールであり、枠組みなので。
枠組み、概念、原則などなど、難しい言葉が出てきました。
中でもポイントになるのが、ポジショナルプレーは戦術の上位階層にあることです。戦術を組み立てる際には、ポジショナルプレーの考え方、枠組み、原則を元にしましょうということです。
ポジショナルプレーの位置づけ
ここで何か他に似たような意味の言葉は無いのかな?と考えて、思いついたのが企業理念です。経営理念とも言います。
例として任天堂の企業理念を見てみましょう
当社グループは、ホームエンターテインメントの分野で、健全な企業経営を維持しつつ新しい娯楽の創造を目指しています。事業の展開においては、世界のユーザーへ、かつて経験したことのない楽しさ、面白さを持った娯楽を提供することを最も重視しています。
この後にはきっと、そうして対価を得ることで企業を経営していきます、と続くんでしょう。「健全な企業経営を維持しつつ」という文言が入ってるのがちょっと面白い。
企業には多くの人が集まります。当然ながら、全員が同じような考えを持っているわけではない。それでも集団として活動しなければならないので、最低限の指針が必要になってきます。色々やらなきゃいけないけれど、これだけは大事な事だからみんな忘れないでね。そんな考え方を企業理念と呼んでいるのだと思います。
サッカーチームも人の集まりという点では同じですね。監督、コーチ、トレーナー、分析官、通訳、用具係、そして若手からベテランまでの選手。色々な立場からサッカーに取り組んでいる集団です。特にプロスポーツ選手ともなると、誰もが一家言ありそうですし、我の強い人も多いでしょう。そんな人達をまとめるためには、やはりチームの理念が定まっていたほうが、上手く進んでいくのではないしょうか。
集団としてのサッカーチーム、細かく言えば色々出てくるかもしれせんが、一番の目標は「ゲームに勝つ」ことになるでしょう。どの様な戦略をたて、戦術を組みあげ、どんな選手を選ぶのか。サッカーは非常に自由度の高いスポーツで、勝利へのアプローチは多種多彩です。そしてその中の一つがポジショナルプレーであると自分は考えています。
もう少しそれっぽい文章にしてみると、
「私達は、ゲームに勝利するという目標のため、ポジショナルプレーという思想を元に、チームに関するいろいろな事を決めています。」
こんな感じかな。
というわけで、ポジショナルプレーとは「チームの理念」と僕は考えています。思想、哲学、でも良いかも。