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サッカーブログです。

2020/02/09 杮落としマッチ 京都サンガ VS セレッソ大阪 ~今日はこれぐらいにしといたるわ~

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新スタジアム!

「サンガスタジアム by KYOCERA」がついに完成しました。紆余曲折がありつつも、最新の技術と知見がつまった素晴らしいスタジアムで、観戦環境でいうと現時点で国内最上級の一つと言って良いでしょう。このスタジアムをホームにできることに、一人のサポーターとして非常に嬉しく思います。また、スタジアム建設に尽力された方々には、言葉をつくしても伝えきれないくらいの感謝の気持ちでいっぱいです。

 

杮落としの相手はセレッソ大阪となりました。ロティーナ監督を迎え、昨シーズン25失点とシーズン最小失点を記録するなど、面白い方の大阪のイメージから質実剛健なチームへと一変させました。シーズン後半戦の勝率は、優勝したマリノスに匹敵していました。J1でも強豪チームの一つでしょう。

 

一方ホームの京都サンガ。昨シーズンの躍進を支えた監督、スリートップが揃ってチームを離れました。新しいメンバーも多く、良かった所をどう引き継いで行くのか?新しい戦力をどう生かしていくのか?に注目されます。

 

まだシーズン前ということで、双方ともテストの意味合いが強かった試合になりました。それでは、ざっと振り返ってみましょう。

 

攻略法を装備しているセレッソ

京都は前半3分、ゴール前で得たFKから宮吉のシュート。セレッソも右サイド坂元のクロスから清武のヘディングと、序盤は互いにチャンスを作る展開。それでも優位に立つのはやはり格上セレッソ。試合の主導権を握ります。

その要因は、システムのかみ合わせのズレを、上手く利用したからです。セレッソ側から見ると、京都の1FWに対して2CB。この数的優位を上手く使って攻撃を組み立てていました。

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セレッソが攻略する対象としたのは2列目のサイド。CBがボールを運び、SBと協力して2対1の状況を作ります。

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京都はラインを高めに、前からプレスに行きたいという意思を見せていましたが、数的優位を上手く作られてしまうために、サイドの宮吉、中川は、いつ誰にプレスをかけるのか決められず。思ったような守備が全く出来ていませんでした。

セレッソの攻撃の起点はほぼここから。さらに京都の守備を崩しに掛かります。

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ボールに寄せる選手の動きを利用して、最終的には3バックの中央にいるはずのバイスをサイドに引きずり出します。注目すべきはまったく同じパターンの崩しを何度も繰り返していたことでしょう。

順番に守備が動かされる様は、まるで詰将棋。541を崩すためにはこうすれば良い、と教えを受けているようでした。京都をわざわざ研究していたとは考えにくいので、すでに541の崩し方がチームに身についているのでしょう。

 

京都としては、守備の強いバイスが外に誘い出されるという悪夢の様な状況。幸いにもこの形からの失点はありませんでした。しかし今後の試合で、狙われるポイントとなるのは間違いありません。

 

ビルドアップに苦しむ京都

立場を変えて、京都がボールを持った場合です。同じように、システムの噛み合わせを見てみましょう。京都の343に対して、セレッソは442で守ります。この場合、京都の3バックで数的優位が作られます。

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京都は数的優位を上手く使えていませんでした。ボランチの選手が落ちる動きをしていたからです。

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2人の守備を突破するために、4人使うことになります。確かにこうすることで、DFラインから安全にボールを運べます。しかし、そこから先の人数は足りなくなり、パスコースを簡単にふさがれ、すぐにボールを奪われてしまいます。

 

何度か繰り返した後、20分経過したあたりで形を変えます。相手2トップの横をCBが前進することで攻撃の起点となります。

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ボランチではなくCBが前に出ることでパスコースも増え、ウイングバックも高い位置に押し上げることができます。

京都がようやく効果的なボール運びができるようになった30分頃、セレッソはまたしても見事な対応を見せます。

 

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注目はSHのポジション取りです。京都のサイドCB、ウイングバック、ボランチのちょうど中間の位置で待ち構えます。あいまいな場所に立つことで、まずCBの持ち上がりを牽制し、シャドーへのパスコースも防ぎます。そうしてボールの出しどころを制限し、ウイングバックにパスが出された瞬間を狙って一気にプレス。ボールを奪いにかかります。

セレッソの守備は、誘導→奪取という二段階に分かれています。ただ闇雲にボールを追いかけるのではない、非常にスマートな守備です。この2種類の守備を上手に使い分けることで、J1最小失点を記録できたのでしょう。

 

攻守ともにセレッソに上回られ、厳しい展開となった京都。DFラインを下げ、ゴール近くでの守備の時間が長くなり、攻撃も単発のカウンターを繰り出すのみの展開になってしまいました。

その中で、一人気を吐いていたのはウタカです。木本、ヨニッチ相手に一歩も引けを取らず、 脅威を与えていました。京都にとって、彼の個人能力は大きな助けです。

 

 前半終わって1対1。同点ですが、スコア以上にセレッソの完成度の高さが目につきました。

 

サッカーの論理で突き崩す

後半に入りメンバーチェンジ。京都は宮吉→李忠成。セレッソは清武→柿谷。選手の入れ替えのみで、システムの変更はなし。

京都はボランチに入るボールに対する当たりを強め、何度かカウンターのチャンスを作りますが大勢は変わらず。セレッソがボールを持つ展開は続きます。

その中で、セレッソが非常に興味深い攻撃パターンを見せていました。MFとDFの間、通称バイタルエリアで前を向く事が目的です。

右SBの松田に時間が出来ると、前線の選手が一斉に裏に飛び出す動きでDFラインを押し下げ、MFとDFの間に出来たスペースにボールを送り込みます。

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単純なようで非常に守るのが難しいパターンプレーです。なぜなら、サッカーの守備のセオリーを逆手にとっているからです。

DFが裏に飛び出す選手についていけば、スペースが出来てしまう。かといって、スペースができるのを嫌ってその場に止まると、ライン裏、しかもPA内の危険な場所を取られてしまいます。

裏に抜け出す、SHが中に入りライン間で受ける、斜めにパスを入れる。それぞれはシンプルなプレーですが、組み合わせるとDFが対処不能な攻撃を仕掛けられる。チームスポーツにおける戦術の妙と言えるプレーです。

セレッソの2点目、3点目ともに全く同じパターンから生まれました。個人の頑張りだけでは、この攻撃は防げないでしょう。どうすれば封じ込めるのか?これからセレッソと対戦するチームは、頭を悩ませることでしょう。

  

 343→433

開幕前の情報どおり、京都は343と433のシステム併用を考えているようです。73分、モッタ→中野、森脇→荒木の交代で、システムを433に変更しました。

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昨シーズンも433を使っていたのですが、少し運用方法に変化が見られました。ボールを持つと、4バックの右サイドが高く上がり、スリーバックの様に変化します。全体で見ると左右非対称の形になります。

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攻撃的な右SBが多い、右ウイングに補強なし。今年の京都の編成で指摘されていた事です。まえもって、非対称433を想定していたのかもしれません。考え方の順番は逆かもしれませんが、なかなか良い解決策のように思います。

ただこの変形で気になったのは、中央にはCFとIHの3人がすでにいるという事です。左右非対称になると、右ウイングが内側に入ります。そうすると中央には人が集まりすぎて渋滞を起こし、プレーが難しくなるようにも感じました。変形したあとのそれぞれの役割について、もう少し整頓する必要があります。

 

 アディショナルタイム、互いに1点を取り合うという激しい展開になり、最終スコアは3-2でセレッソの勝利となりました。

 

ひとりごと 

公式戦では無いが故に、逆に組織としての完成度の差が如実に現れた試合でありました。J1で上位になるには、これくらい出来なければダメなんだと。京都は監督、選手ともに新加入が多いので仕方のない所ではあります。それを差し引いても、まだチームとしての完成度は低いですね。

システムは去年を引き継いでいるのですが、チームづくりの思想はまったく異なっています様に感じましたね。ポジショニングについても「ボールには素早くサポートしよう」くらいに抽象度に下がっていそうです。こうした選手を主体としてチームを作りは、これもまた一興。経験値のある選手が多いですから、良い関係を構築できるかが鍵になるでしょう。

 

新スタジアムについて、選手から「声援が反響して、コーチングの声が届きにくい」とのコメントがありました。なるほど、そういうこともあるのか。と気づかされたのですが、実際のところ、他所の専用スタジアムではどうなんでしょうね。特に海外のスタジアム。物凄い声援のなかで、選手たちはどうやってコミュニケーションをとっているんでしょう?そんなことも気になりました。