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2022年 J1リーグ 第4節 湘南ベルマーレ VS 京都サンガ レビュー(雑感)

7 MF
武富 孝介

今日の試合で必要だったことは、サッカーの本質というか原点というか、前半最初の15分はもっとシンプルにボールを前に運ぶ、クリアを前に大きく出す、ロングボールを前に蹴ることだったと思います。J1で戦う中ではうまくいかないことがたくさんあるので、個人的な意見ですが、そういうことも頭に入れた中で最初の15分は少しラグビーのようですが、もっともっとロングボールを前に送って、それがつながらなくてもセカンドボールを拾っていくということが必要だと感じました。今日のようにボールをつなごうという目的意識が高くても相手の圧力を受けてつながらず、相手のボールになって自信を失うよりは、ロングボールを蹴って自分たちのアグレッシブさや走力を活かして前にどんどん圧をかけていくのが良いのではないかと思っています。

試合情報|京都サンガF.C.オフィシャルサイト

・シュート0に終わってしまった前半を受けての提言と思われる。湘南の前線からの守備は、ジュビロとほぼ同じ理屈だった。京都のビルドアップのスタートである、2CBと1アンカーに対して、1人はアンカーを消しつつもうひとりはCBのに寄せるという形である。湘南のプレッシングが激しかったのを割り引いても、京都はまったく前進することが出来ず、自陣に釘付けとなってしまった。自分達の理想としての形をやりたいのは分かるけれど、劣勢になるのであればもう割り切って前にボールを運べば良いのでは?というのが武冨の意見なのだろう。FWの心情としては、自分の所までボールこないやん!というだけの話かもしれないけど。もちろん京都もプレス対策的な事をしてなかった言うとそうでもなく。武田が頻繁に降りる動きをして、ビルドアップを助けようとしていたのが印象的であった。ただそれでも上手く前に進められなかったのは確かで、そうなった時にどうするのか、というのはこの試合で突きつけられた課題なのだろう。

 

・ジュビロ戦に引き続き、京都の攻撃に昨年から変化があるのは湘南戦でも確認できた。攻撃時にはボールの近くに人数を掛けるようにしているようだ。一番わかりやすいのが中盤3人の位置取りを見てもらえば良いと思う。これは4123でも532であっても変わらない。長年京都を応援している人には大木監督がやっていたボール保持に近い。違う所は縦への速度を重視していること。実際いくつか効果がでている場面もあった。後半開始直後の武冨のシュート、76分あたりの荻原のシュート、などは、人をボール近くで全体的に縦長の陣形になることで、早い攻撃を成功させていた。

副作用は全体的なバランスが崩れてしまう事。なんせ逆サイドには人が少なくなってしまうので、展開されると一気にゴール前まで持っていかれてしまう。特にボールを失った時のプレスにより繊細さと速さが求められる。また、狭いスペースでのボールコントロールも必要になる。

昨年は全体のバランスを意識したポジショニングを取っていて、それによってボールの即時奪回を担保していた。より得点を取ることを意識した変化であり、今後どれくらいまで精度を上げられるのかを注目して見ていきたい。

 

・ここ数試合、プレッシングが機能していない試合が続いている。この辺りは昨年からの心配事が相手のレベルが上がることによって、より大きくなったということだろう。京都はハイラインハイプレスを目指しているチームであるが、最前線のウタカはあまり熱心にプレスをする選手ではない、変わりにウイングやIHの選手が1.2人分くらい走ってカバーしていたのだが、ちょっとそれが上手く行かなくなってる。相手が前を向ける様になると、J1では精度の高いロングボールが飛んでくる。DFラインの裏を対処しようとして2試合連続で退場者を出したのは運が悪いでは済まない構造的な問題だろう。

ウタカをどうするか、というのも悩ましい問題。ストライカーとしての能力は疑いようはない。ただチームが理想とするハイラインハイプレスをするにはちょっと無理がある。3バックにして、自陣からのカウンターを基本とする方針転換も選択肢の一つ。ウタカを外すといった思い切った転換もあるかもしれない。

理想を追求するのか、現実的な解決を目指すのか。どちらが正解なのかは誰にも分からない。どちらを選んでも、その決断は尊重したい。

 

・元日本代表監督のハリルホジッチが次の様な言葉を残している。「私が厳しい要求をしているわけではなく、ワールドカップ本大会が厳しい要求をしている。」

京都サンガに当てはめると、J1が厳しい要求をしているとなるだろうか。チームと選手達はどれだけ要求に応えられるだろうか。まだまだ冒険は始まったばかり。