
ポポビッチ体制
5年半続いたチョウ・キジェ監督時代から、あらたにポポビッチ監督を迎えた京都サンガ。開幕戦は残念ながら敗戦に終わったが、新体制の特徴が幾つか見て取れたので、メモ代わりに残しておこう
可変システム
まずはチームのベースとなる思想としてボール保持を重視していることが挙げられるだろう。試合序盤こそ、ロングボールを前線に当てるプレーを選択していたが、試合が落ち着くに連れて、後方からボールをつないで前進を図っていく。その場合に特徴的なことは可変システムを採用していることだろう。
右サイドバックの福田は高い位置をとり、左SBの佐藤響は、いわゆる偽サイドバックとして、内側に移動する。その他中盤の選手たちは位置調整を行って、4231から235の形に変化する。

ボール保持を重視しているというのは、選手の立ち位置だけでなくボールの動かし方にも現れており、GKを使ったプレス回避や、ゴールキックからショートパスでつないでいたり、ボールを奪った後に配置を整える時間を作っていたり、このあたりは新監督がポゼッション志向であることが見て取れる。
また、アクシデントなどで左CBの交代が行われたが、順番としてエンリケ→永田→義宜であったのも興味深い。左CBは左利きであることを重視しているように思われる。右CBについても、ボランチも可能なウェベルトンが配置されていたこともあり、CBには単純な守備力だけでなく、ビルドアップの起点となることが求められているのではないだろうか。
ただし、ビルドアップの精度としてはまだまだ課題は多い。GKを含めた後方での三角形、菱形を上手く作れていないこともしばしば。1失点目のように相手プレスを受けてピンチに陥る場面はしばらくは出てきそうである。前監督時代から大きく変わっているところなので、時間がかかるのは仕方が無いことかもしれない。
1失点めの考察については同じことを書くことになるのでTweetを引用。
問題の1失点目の場面もペドロの位置が気になってる。ウェベルトンがちょい前にでてボランチ的に間で受けれる場所にいるんだけど、ペドロが下がって割り込む感じで代わり受けちゃったね。1手で行けるところを2手掛けたらかプレスをまともに受けたと言えなくもない
— とめ@はんなりサッカー (@tome_beta) 2026年8月11日
問題の1失点目の場面もペドロの位置が気になってる。ウェベルトンがちょい前にでてボランチ的に間で受けれる場所にいるんだけど、ペドロが下がって割り込む感じで代わり受けちゃったね。1手で行けるところを2手掛けたらかプレスをまともに受けたと言えなくもない
— とめ@はんなりサッカー (@tome_beta) 2026年8月11日
基本は裏への飛び出し
235の形でボール保持から相手陣に侵入することに成功すると、ゴール前の崩しに移行する。目についたのは、相手守備ラインの裏を狙う動きが盛んに行われたことだ。選手の立ち位置の入れ替わりが合ったとしても、裏を狙う動きに変わりはなく、これはチームの約束事となっている可能性は高い。この動きの狙いとしては、もちろん守備ラインの裏をとってすぐさまチャンスにつなげることであるが、もう一つの狙いとして、守備ラインを押し下げて、ライン間でのスペースを作るという意味もあると思われる。裏を狙う動きとそれによってできたスペースを使おうとする選手、それの連携によって相手守備陣を混乱させ攻略するというのが、ビルドアップからの攻撃の手段となるのだろう。
もう一つ、相手のDFが作る守備ラインとMFが作るラインの間を狙ってクロスを送り込むプレーが幾つかあった。相手守備ライン間のスペースを活用しようとするクロスであって、先ほどの裏抜けの動きとセットで整合性がとれた攻撃の様に思われる。
得点シーンでは、エリアスの鬼の決定力が目立つが、アレックスソウザが裏抜けを仕掛けることでの相手守備ラインの押し下げと、それによってできたスペースの活用を一人でやっていたり、加藤蓮のグラウンダーで送るクロスといい、チームとして狙った攻撃が実現できた、良いゴールだったように思われる。
ポポビッチ監督のサッカーは縦に早いと効いていたが、これは裏を狙う動きが盛んに行われていることから来ているのであろう。キジェ監督の縦に早いとは、またちょっと意味合いが違うのでは無いかと思う。
スタメン右サイドハーフに本来サイドバックの加藤蓮が使われていたのが不思議に感じたが、おそらくは裏抜けのフリーランを繰り返して欲しかったのでは無いかと推測している。とはいえ、加藤蓮は内側でのプレーもそれほど苦手意識もなさそうで、須貝の抜けた穴を十分に埋めてくれそうである。
もう一人目に止まったのは左サイドハーフの新井。百年構想リーグではボールを持ってい縦突破を狙う選手であったが、ポポビッチ体制では前述した裏抜けフリーランを試合中ずっと繰り出し続ける役割となった、後方の佐藤響がボランチ的な仕事をこなせるので、前後の組み合わせはよく、オフサイドにもかからず裏抜けを次々と成功させていた。ボールを受けた後に決定的な仕事が出来れば大化けする可能性は十分にありそうだた。
課題の守備
試合を通して守備は大きな課題となった。個々の対応もそうであるがチームとしての振る舞いも良くはなかった。京都は守備時には442でプレスを掛けるのであるが、長崎は3バックのポジションを取るため噛み合わせが悪く、また前線にいるサンタナがボールを収めるタスクを高確率で成功させるため、京都守備陣はロングボールによる前進も注意しなければならず、思い切った押し上げができなかった。
また選手同士の守備連携が上手く取れておらず、失点シーンだけでなく、ここ突破されるとかなりまずい、というシーンが頻発していた。このあたりも長期政権後の難しさというのが現れている。
全体を通して、良い場面も悪い場面も現れて、新体制の1試合目としては、なかなか実りのある試合出会ったように思う。実戦でしか身に着けられないことをたくさんあるので、チームの完成度を徐々に高めていってほしいところである。