○大黒の2得点
先日の岡山戦、大黒が決めた2得点で劇的な逆転勝利になりました。
ヘディングの落としに素早く反応してゴールを決めるという、とてもストライカーらしいゴール。
終了間際である事も加えて、やはり格の違う選手であると改めて確信させるような素晴らしいプレーでした。
この2つの得点はよく似た形だったのですが、
シュートを決めた大黒にも共通した動きが見て取れます。
高いボールに対して味方が競り合った瞬間、大黒はボールの方に体を向けて前傾姿勢をとり小さくジャンプする動作をしています。
自分は学生時代にテニスをやっていまして、これとまったく同じ動作を教わった事があります。
それはスプリットステップという動きです。
○スプリットステップ
スプリットステップというのは、相手がボールを打ってくるタイミングに合わせて、
足を肩幅ぐらいに広げ、小さく軽くジャンプする動きです。
テニスでは重要な動作とされています。
実際に試していただければわかるのですが、
足を肩幅に広げて軽くジャンプすると、
着地した時に、両足に体重が均等に掛かり、両膝が軽く曲がり前傾姿勢になります。
この姿勢を取ると、前後左右どの方向にも同じように動き始めることができます。
いわゆる「基本の構え」になります。
例としてクルム伊達公子のリターン練習。
相手が打ってくるボールに対して、どんな方向に来ても対応できるように
スプリットステップを踏んで構えを取っていることが分かると思います。
ここで大黒の2得点に戻ります。
大黒はステップを踏んでいました。
自分のところにどんなボールが来ても反応できる構えをとっていたんですね。
準備が出来ていたからこそ、誰よりも早く反応してシュートを打つことが出来たと。
残り少ない時間の中でも、冷静な判断をしていた事に驚きを隠せません。
○可能性を信じて
岡山戦はクロスの本数も多くて、ドゥグラスの高さを使おうとする意識がチームの中にありました。
そして大黒はクロスボールや競り合いでのこぼれ球が自分のところに来そうな時には常にステップを踏んでいました。
準備をしていても自分の所にボールが来るとは限らない。それでも信じてやり続ける。
90分やり続けてきたからこその2得点。毎試合続けてきたからこその25得点。
大黒の凄さはシュート技術や駆け引きの上手さよりも、
可能性を信じてずっとやり続けるメンタルにあるのかと、自分はそう思います。
最後にカズこと、三浦知良の言葉。
”世間の人達は「万一」と表現するけど、フォワードという連中は万一を心底信じて疑わない。
99.9%の過去よりも0.1%の未来に賭ける。”