なんで急にスロバキア!?となるので、経緯についてご説明します。
ユーロ2024アーカイブ化計画という企画がありまして、参加者がそれぞれ1カ国を担当して試合の分析を行うというものです。ワールドカップでも同じような企画があったのですが、お誘いを受けたので、せっかくだから参加してみようということになりました。
この度、ユーロ2024アーカイブ化計画を行う運びとなりました。
— Windtosh's Cantina Project. (@W_C_Project) 2024年6月11日
多彩な分析者の方々に、くじ引きで国を割り当て、担当国を各々分析していただく試みです。
多様な視座を提供できる事請け合いなので、ユーロ2024本大会と共に是非!お楽しみください!!!!@Windtosh #note https://t.co/PPFIyEtFzX
どの国を担当するかはくじ引きで決まるのですが、私はスロバキアを担当することになりました。
ユーロ2024アーカイブ化計画
— Windtosh's Cantina Project. (@W_C_Project) 2024年6月13日
担当国抽選会
とめ(@tome_beta)さん
担当国 🇸🇰スロバキア#ユーロ2024アーカイブ化計画 pic.twitter.com/W9t3jBfWhV
優勝候補の国を担当するのも、それはそれでプレッシャーだなと思ってたんですが、割当たったのがスロバキア。さあ困りました。さっぱり分かりません。大多数の人がそうであるように、日常生活でスロバキアという単語が頭に浮かんだこともありません。スロバキア国籍のサッカー選手としてはハムシクが思いつくぐらいです。しかももう引退してるし。
これはまずい。このままノープランで挑めば、名前を覚える頃には大会が終わっているでしょう。あまりにもズルズルな記事を書くのも申し訳ないですし、あまり知らないチームを深堀りしていくというのもなかなか楽しい作業でもあります。
というわけで、スロバキア代表ってどんなチーム?誰が監督は?有力な選手は?年収は?恋人はいるの?
調べてみました!
予選成績
スロバキア代表は予選グループでは、ポルトガル、ルクセンブルク、アイスランド、ボスニア・ヘルツェゴビナ、リヒテンシュタインと対戦。
10試合で7勝1分2敗。得点17の失点8。ポルトガルには2連敗しましたが、他チームとの対戦ではほぼ完璧。失点の少なさが特に際立っています。
UEFA EURO 2024予選・グループJ - Wikipedia
監督 フランチェスコ・カルツォーナ(Francesco Calzona)
今回のEURO2024ではイタリア人監督が5人もいるということで話題になりました。カルツォーナもその一人です。現在、スロバキア代表監督とSSCナポリの監督を兼任という形になっていますが、ナポリでの指揮はスロバキア代表での活動が無い期間だけの特例だったようです。
カルツォーナは選手としてはセリエBで3試合の出場にとどまり、プロ選手としての実績はほとんどなありませんでした。指導者への転身は、コーヒー豆を売りながら、アマチュアクラブ、テゴレートの監督から始まります。そこから現場叩き上げでステップアップし続け、代表監督までたどり着きました。
彼の指導者としてのキャリアで大きな転機となったのが、マウリツィオ・サッリとの出会いです。2000年、カルツォーナはテゴレートの監督を辞任し、後にナポリで最も美しいサッカーと賞賛されたチームを作ることになるサッリを、後任とする提案をします。そこから二人は監督とコーチの関係で、2018年のナポリに至るまで二人三脚を続けることになりました。
たまに話をだすのですが、サッリのナポリはとても好きなチームです。欧州一線級のタレントが揃っているとは言えない陣容で、CLの舞台でマンチェスター・シティと互角にやりあっていたのは感動すら覚えました。今回スロバキアを担当することになったのはたまたまなのですが、自分の好きな監督とつながりがある方が指揮するチームであることに、不思議な縁も感じます。サッリのテイストがどこかに見られるかも、という期待もしています。
カルツォーナは、監督としてトップレベルのチームを率いるのはスロバキア代表が初めて。それでも予選を見事に突破し、本線に出場したことは、ついに訪れた晴れ舞台と言えるでしょう。
代表メンバー
スロバキア代表のメンバーは↓のとおり。
▽GK
1 マルティン・ドゥーブラフカ(ニューカッスル)
12 マレク・ロダーク (フルハム)
23 ヘンリッヒ・ラバス(ニューイングランド・レボリューション)
▽DF
2 ペテル・ペカリーク(ヘルタ)
3 デニス・バブロ(コペンハーゲン)
4 アダム・オベルト(カリアリ)
6 ノルベルト・ギョンベル(サレルニターナ)
14 ミラン・シュクリニアル(パリSG)
15 ベルノン・デ・マルコ(ハッタクラブ)
16 ダービド・ハンツコ(フェイエノールト)
25 セバスティアン・コーシャ(スパルタク・トルナバ)
▽MF
5 トマーシュ・リゴ(バニーク・オストラバ)
8 オンドレイ・ドゥダ(ベローナ)
11 ラースロー・ベーネス(ハンブルガー)
13 パトリック・フロショフスキー(ゲンク)
19 ユライ・クツカ(スロバン・ブラティスラバ)
21 マトゥーシュ・ベロ(ボーフム)
22 スタニスラフ・ロボツカ(ナポリ)
▽FW
7 トマーシュ・ススロフ(ベローナ)
9 ロベルト・ボジェニク(ボアビスタ)
10 リュボミール・トゥプタ(スロバン・リベレツ)
17 ルカーシュ・ハラスリン(スパルタ・プラハ)
18 ダービド・ストトレツ(スロバン・ブラティスラバ)
20 ダービド・ジュリシュ(アスコリ)
24 レオ・ザウアー(フェイエノールト)
26 イバン・シュランツ(スラビア・プラハ)
とりあえあず、予選と親善試合の出場記録を調べてみました。システムは一貫して4123が採用されています。サッリイズム。
スタメンは、直近のウェールズ戦のメンバーが第一候補になりそうです。
予選を通じてGK、DF、MFはほとんど変わらず不動のメンバーと言えそうです。一方で3トップはなかなか定まらず、予選に出場していたローベルト・ポリエウカ、ローベルト・マクが本線に出場せずと、苦労しているのがわかります。ハムシクが予選に出場していたのがツッコミどころ。本戦も出場しましょうよw
中心メンバー
GK マルティン・ドゥーブラフカ
35歳。身長190cm、体重80kg。
2018年にスパルタ・プラハからニューカッスルへローン移籍。その活躍が認められ完全移籍。2018年から2022年まで、守護神として活躍しました。現在はマンチェスター・ユナイテッドにローン移籍中。
予選でもスタメン出場を続ける不動の守護神。ニューカッスルではチーム内最優秀選手にも選ばれた事があります。プレミアリーグフリークの方々には見知った選手でしょう。
CB ミラン・シュクリニアル
29歳。身長188cm、体重80kg。
サンプドリアでの活躍が認められ、2017年にはインテルに移籍。ミランという名でインテル所属となります。この時支払われた2000万ユーロはスロバキア人として歴代最高額となりました。期待に違わぬ活躍を見せて、CL出場権、スクデット獲得に大きな貢献を果たしました。2024年はPSGに所属。監督との折り合いが合わず苦労しているようです。
MF スタニスラフ・ロボツカ
29歳。身長170cm、体重64kg。
デンマークのノアシュラン→スペインのセルタ→イタリアのナポリと、順調に成りがっていくロボツカ。バルセロナへの移籍が噂されています。2020年にはナポリでスクデット獲得に貢献。カルツォーナ監督にとっては、よく知る選手が居てくれるのは心強くことでしょう。アンカーのポジションということもあり、まさにチームの中心と呼べる選手です。
有力な選手が後方に固まっているあたり、やはり守備が売りのチームと考えて良さそうですね。
簡単チームアナライズ
ダゾーンでスロバキア対ウェールズの試合が見れたのでその感想です。
システムは4123。守備は基本的に451のミドルプレスとなります。中盤の一人が前にで442のプレスに変化もよく見られます。考え方としては、人につくというよりは、ボールに対して前方へのコースを消すことを重視されているようです。守備をする選手同士の横の距離が意識され、無理して出てきたボールをDFラインが奪います。この守備はサッリのナポリと似てますね。
攻撃に関しては、4123からサイドバックを高くあげて235の形になることが多いです。その形によりボール中心の菱形(GK+2CB+アンカーやCB+アンカー+SB+IHなど)を作ることでショートパスによる前進を図ります。前方の5人は落ちる動きと裏に抜け出す動きのコンビネーションでラインブレイクを狙います。もちろん、ポケットへの裏抜けが一番の狙いです。ボール保持で両サイドバックを高く上げるのは、カウンターが怖い所ですが、それだけ2CBとアンカーであるロボツカの守備力を高く評価しているとも言えます。一方で現代サッカーの基本の基本みたいな攻撃をするだけに、意図的なエラーを起こしにくく、3トップのパワー不足が少し気になってきます。
親善試合ということで、本番とはもちろん意味が違う試合ではあるのですが、中堅国といえども、最新のサッカーがしっかり実装されているあたり、欧州のサッカー文化の厚さの奥深さを感じます。もちろん、カルツォーナ監督の手腕もね。
本戦展望
EURO本戦は、ベルギー、ルーマニア、ウクライナと同組です。1位抜けは、ベルギーが確定として、残り一枠を3チームで争う構図となり、どのチームにもチャンスはありそうです。3カ国にとってはベルギー戦をどう捉えるかという戦略も、グループリーグの見どころの一つとなりそうです。
スロバキアの試合日程は次のとおり。楽しみですね。
6月18日(火) 1:00 VS ベルギー
6月21日(金)22:00 VS ウクライナ
6月27日(木) 1:00 VS ルーマニア