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百年構想リーグ 第1節 京都サンガ VS ヴィッセル神戸 ~後ろ髪引かれる思い~

試合全体の所感

百年構想リーグという特別リーグ。公式なリーグタイトルとしてカウントされないことを考えると、選手の見極めに専念するチームが出てくるのでは無いかと心配したが、両チームに限っていえば、モチベーション高く試合にのぞんでくれた。一方で2月初めということで、例年ならばキャンプをしている時期でもあるので、選手のコンディションとしてはもう少し時間が掛かりそう。キックミスも多く、体が重そうな選手もちらほら。京都で言えば、試合間隔が開くと急に質が下がるという性質があるのだが、今年の開幕戦もご多分に漏れず。試合感の無さを感じさせるものであったが、徐々に落ち着きを取り戻す。この試合で内容どうこう良いもんも無いと思うが、まあこんなもんだろう。

 

前途多難の2026シーズン

昨シーズンはリーグ戦3位と躍進を果たし、いよいよ強豪クラブの仲間入りか?と意気込んだの2026年であるが、どうやらそんな場合では無いようだ。宮本の浦和レッズ復帰はともかく、開幕直前での原大智の移籍に加えて、福岡の怪我も発表されて、まさに飛車角金落ち状態である。いずれもチーム戦術の要といえる存在であったが、3人の離脱の影響がどれほどのものだったのか。その観点で開幕戦を振り返ってみたい。

3人のタスク

ここで離脱した三人のタスクを整理しておこう。

・原大智

 ・前進に困ったときのロングボールのターゲットマン。

 ・エリアスをストライカーとして専念させるための前線での起点作り。

 ・サイドに流れてからのクロッサー

・福岡慎平

 ・ビルドアップのサポート。

 ・簡単に中央を割らせないためのスペースを守る守備。

 ・試合全体のペースを調整する中盤の指揮者

・宮本

 ・高いラインの背後を埋めるカバーリング

 ・地上戦での一対一の守備での強さ。

 ・攻撃の起点となる縦パス。

色々と試して来たけれど、いずれのタスクも結局は彼らでしかできないという結論に至っている。これらのタスクをこなせるからこそチームの屋台骨であり続けた。

 

課題となるボール前進の手段

 3人に共通した役割としては、ボールを前進する手段を担っていたことだろう。元ボランチの宮本はボール扱いにも長けており、特に縦パスを通す感覚を持っている唯一のDFであった。それをサポートする福岡は巧みなポジションニングで相手プレスを外し、時には見方を動かすことで道筋を作るなどインテリジェンスが優れた選手である。原大智はロングボールのターゲットとして前進だけでなく困ったときの預け先でもあった。京都の攻撃力はエリアスを筆頭として前線の選手が注目されがちだが、ショートパスとロングボール、ボール前進に2つの手段を用意できていたことが攻撃を支えてきた。

 その三人がそっくり抜けてしまったこの開幕戦、いったいどうなっていたのか。結論から言うと、ボール前進にはかなり苦労していた。得にショートパスでのビルドアップは絶望的であった(現時点では)。神戸のミドルプレス守備が良かったのもあるが、CBから縦にパスを繋いでいく場面はほとんど見られなかった。アンカーの齊藤未月がCB間に落ちる、いわゆるサリーをする場面もあったが、降りた所で結局はロングボールを蹴るという切ない状態だった。ロングボールを蹴り、お互いがボールを跳ね返したあとのこぼれ球を拾い攻撃を仕掛けるという局面では相変わらず強さを見せる京都ではあったが、アドリブに強いとはいえ、それ一辺倒では体力的、精神的にかなり辛いプレーをし続けることになりそうである。

 ちなみにロングボールのターゲット(ゴールキックなど)はジョアン・ペドロが担当することになったようである。高さもあるのでそれなりにできそうではあるが、ポジション的にはオープンプレー時でのターゲットとしてはちょっと使いづらい。なので、ロングボールを使うときには、高いボールよりも相手の裏狙いのボールを多かった。相手DFが少しでもクリアしづらいボールを送ることで、こぼれ球奪取の機会を増やそうとすう狙いだったように見えた。


それでも一つ攻撃の糸口として見えていたのが、エリアスの偽9番である。エリアスはリーグトップのストライカーであると同時に、非常に優れたチャンスメーカーでもある。この試合では頻繁に落ちる動きやサイドに開くポジショニングで攻撃の起点になろうとし続けていた。

カウンターの形とはいえ、得点はエリアス→マルコのラインであったように、エリアスが少し引いた位置からのパスの精度は非常に高い、相手のプレッシャーにも負けない巧さと強さもある。エリアルが引いたところに代わりの選手がゴール前に飛び出していくパターンが一定の形を見せていたのが、この試合の収穫だろうか。エリアスの得点は減ってしまうだろうが、代わりの選手がそのぶんの得点を生み出せばチームとしての帳尻はあってくる。IHの人選もちょっと変わってくるかもしれない。松田とペドロだったのも、ゴール前に顔を出せる選手としての起用だったのかもしれない。

一定の質は見せた守備

 一方で守備面ではどうだろうか。右CBのアピとアンカーに入った齊藤未月が観点になる。正直なところ、試合開始からしばらくの守備はお世辞にも褒められたものではなかった。失点シーンが分かり易いが、マンツーマンを基本とする京都守備において、相手一人に対して二人つけてしまうというミスが発生していた、結果的に中央に大きなスペースを開けてしまい、大迫に使われことで失点になってしまった。試合序盤で気になったところはもう一つ、こぼれ球争いを制したあと攻撃を仕掛けるのは良いのだが、自分たちのバランスが崩れた状態のまま攻撃に出てしまった。攻撃が上手く行かないのは仕方ないとしても、奪われたあとに手痛いカウンターを受けることになってしまっていた。このあたりのバランス調整を担っていた福岡の不在が影響していたのかもしれない。

 とはいえ、時間が進むにつれて守備は持ち直していく。序盤はプレスに行く相手が定まっておらず、落ちる動きを頻繁にする大迫や偽SB的に内側に入ってくる永戸のマークに手を焼いていたが、マークする相手の整頓が試合中に修正できたことが、良かった点と言えるだろう。

 宮本の代わりとして右CBに入ったアピ。ひとまず一番出場機会の多い選手として選ばれたと思われるが、及第点とも言えるし、安心して任せられるかという程でもなくといった評価になるだろうか。守備面ではまずまずかもしれないが、パスを渡す相手が右SBのみでは流石に厳しい。アンカーに入った齊藤未月にも言えることだが、前任者と同じことができなくても良いのだが、また別の良さを見せないといけない。どちらのポジションも人選には今後も悩みどころになりそうである。

新しい形を探して

 新加入で唯一のスタメンとなった新井にも触れておこう。優れたスピードももちろんだが、相手DFの裏を狙い続ける姿勢は、これまでの京都には居なかったタイプである。揺さぶりを掛けるために裏に抜ける動きが京都には少なく、セットした相手を崩せない理由の一つでもあったのだが、新井は見方のためにも相手を動かす感覚を持っており、エリアス、マルコといったあたりがプレーするスペースを作ることも期待できそうだ。

 新井が見せたプレーのように、居なくなった選手を惜しんで過去のプレーを繰り返すよりは、また新しい形を探すことがチームを進化させる方法になるのだろう。3位を取ったサッカーはもう忘れて、新しい選手と新しいサッカーを作る。それがクラブが成長するということではないだろうか。幸か不幸か百年構想リーグはチームが前に進むためのいい機会になるかもしれない。