◆J2リーグは3分の1が終了
2016年シーズンが始まって3ヶ月。はやくもリーグ戦の3分の1を消化しました。
京都サンガの戦績は7勝5分2敗。勝点は26で1位の札幌とは勝点6差の5位につけています。
序盤戦はもたついていましたが、新しく加入した選手が徐々に咬み合い始め、
試合内容がよくなっていくに連れて勝点も付いてくるようになりました。
ここで一つの区切りとして、京都サンガの開幕からの3ヶ月を振り返ってみたいと思います。
◆第一節 VS水戸戦
スタメンに入って新加入選手は、菅野、染谷、本多、アンドレイ、佐藤、ヨンジェ。
2016年の京都サンガは選手の出入りが激しく、スタメンが大きく変わることは予想されていましたが
それにしても多いですねw
昨季の石丸監督はシーズン途中での監督就任ということもあって守備を整えるのが精一杯という感しだったので、
今年はどのような戦術を用いてチーム作りをするのか注目されました。
キャンプ中には4−3−3を試していたようですが、4−4−2のシステムに落ち着いたようです。
水戸戦ではボールを持った時には4バックから3バックへの可変システムを使っていました。
ボランチの佐藤がDFラインに下がることによって、左右のサイドバックを高い位置に押し上げる。
サイドハーフは中に入り、相手の守備ブロックの間でボールを受ける。
この一連のポジションチェンジから、ボールを持つ時間を増やし相手を押し込んでゲームの主導権をとる、
という石丸監督のやりたいサッカーの意図を見ることが出来ました。
けれども、どうもしっくりいかない。
選手間の連携不足が一番の原因だったのですが、、
細かくパスを繋いでいくのをあまり得意としていない選手が多かったのも理由の一つだったと思います。
また、守備では慎重にいこうするあまりにDFラインを低く取り過ぎて、
全体のコンパクトさが失われボールを上手く追い込むことが出来ていませんでした。
5節までの戦績は4分1敗。
なかなか厳しい状況から石丸監督はスタートすることになりました。
◆完成度の低かった3バックシステム
もう一つ触れておかないといけないのが3バックシステムですね。
岡山戦のスタメン。町田、山形との試合でも途中から使われました。
相手のシステムとの数合わせ、試合終盤での守備固めをねらって、と3バックを使った理由は2つあったのですが、
どの試合も散々な出来でしたね(笑)
3バックといっても守備時には5バックに変化してゴール前を固めるのですが、
後ろへの意識が強すぎて相手へのスペースを与える事になります。
ゴール前は固めているのだけど、肝心のボールに対してプレッシャーを掛けられずに後手を踏んでしまう。
3バックへの変更はそんな悪い流れを呼び起こす原因になってしまいました。
現在の京都はセンターバックのけが人が多く、それゆえに3バックを採用することは無くなっています。
4バック、3バックを使い分けることが出来れば、戦術面で優位性を持つことになります。
選手が揃った時に再び3バックへとチャレンジするのか。注目するポイントですね。
◆転換期となったセレッソ戦
ひとつ前の徳島戦ではまったく良いところ無く負けた所での強敵セレッソとの試合です。
ここが転換期となりました。
システムとしての変更は山瀬と堀米の左右を入れ替えた事です。
この変更により2列目の選手の役割は変わりました。
外から中に入ってボールを受けるのでは無く、まず縦に仕掛けてサイドの深い位置まで上がりクロスを上げる。
パスをつないでボールを持つ時間を増やすよりも、ボールを奪ったら素早く相手ゴールに迫る。
セレッソの選手の個人能力は高く、守備の時間が増える事を意識した戦術の変更だったのでしょう。
この変更がチームにぴったりはまる事になりました。
しっかり守ってカウンター。シュート、クロスで攻撃を終わらせる。
チームとしてやることがはっきりしたことも大きかったですね。
京都の選手はスピード、突破力をもつ選手が前線に多かった事もカウンター戦術が有効だった要因でもあります。
そして何より石丸監督が全員でしっかり守って素早いカウンターをしかけるサッカーが得意である、
というのが一番大きいんじゃないでしょうかね。
◆堅実な試合運び
セレッソ戦からの戦術変更ではカウンター時ではなく、
ボールを持った時にも修正が行われていました。
2列目の選手とサイドバックの選手がどちらも幅をとったポジションを取るのが特徴的です。
そしてトップ下に移動したエスクデロ、アンドレイとサイドの2人で相手守備を崩すのが狙いです。
石丸さんらしいなと思ったのが、サイドバックはクロスを上げる所まで高い位置には行きません。
あくまでも攻撃のサポート役という位置づけです。
サイドバックがあがることによって攻撃の厚みは増しますが、その代わりに隙を与えることを嫌ってのことでしょう。
◆エスクデロのスタメン定着
加入時期も遅く、怪我をしていたエスクデロですが復帰してスタメンに定着してからは京都の攻撃で欠かせない選手になっています。
エスクデロは強靭なフィジカルを活かしたボールキープとそこからのパス。
プレービジョンがはっきりしていて、自分がこのように動けば相手守備のここが崩れる、という意図をもったプレーができる選手です。
J2では頭一つ抜けたレベルの選手のようです。
よく京都に来てくれたと思います。間違いなく攻撃の格となる選手です。
スピードとパワーで裏を狙うヨンジェ。
類まれなキープ力で基点を作るエスクデロ。
ツートップとしての相性も良さそうです。実際2人だけで点を取ったこともありましたしね。
◆これからの改善
ここまで見てきての感想ですが、選手の連携も徐々に良くなり戦術もはっきりしてきて、
ようやくチームとしての形が見えてきたかなと。
清水、セレッソ、ジェフと言った昇格候補のチームがもたついている事を考えれば、
けが人が多くメンバー選びに苦労する中、石丸監督はよくやっているのかなと思います。
チームの試運転的な3ヶ月が終わって5位に付けられているのは予想以上でしたw
それでも現状の気になる所を幾つか上げると、
・DFラインの裏をとられる場面が試合中に何度か見られる。
・2列目の選手が足りていないのではないか。
・CBのけが人がやっぱり多い。
・後半戦、研究されてきてからは上手く対応できるのか(3バックだす?)
・アンドレイ、佐藤の守備力を持ちつつ、縦パスを通せる選手が出てくるのか?(笑)
といった所でしょうか。
京都は自動昇格とまでは強く言えないですがプレーオフには間違いなく入ってくるチームだと思います。
残りのシーズン、もっともっと力強く堅実に(地味にw)勝てるチームになって欲しいですね。