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サッカーブログです。

2023年 J1 第22節 京都サンガ VS 柏レイソル ~繰り返される第2の開幕戦~

 

あまり内容のある試合ではなかったので、気になった所を挙げていきます。

 

3週間 VS 3日

 結果以上に、非常にきびしい内容の試合になりました。私の推測ですが、こうした試合展開となったのは、京都の選手達が試合勘を欠いていたことが原因では無いかと考えます。

 前節の名古屋戦では、京都が中6日で名古屋が中3日と試合間隔の違いが、試合内容に大きく影響を及ぼしました。京都は中断期間を経て、ちょうど3週間ぶりの試合。一方の柏は水曜日に天皇杯を戦っていました。3週間と3日。一般的には、十分な急速とトレーニングが可能なため、試合間隔が長い方が有利と言えます。ただ、その間隔が開きすぎるのも考えものです。自分がサッカーを見てきた感覚の様なもので話をしてしまって申し訳ないのですが、だいたい試合間隔が3~4週間あいてしまうと、選手の動きは逆に悪くなってしまいます。判断が遅れたり、接触プレーで劣勢になったり、とかですね。試合を見ていて、京都の選手達の動きの悪さがとにかく目に付きました。

 中断開けの最初の相手が柏だったというのもゲームを難しくしました。柏は京都と同じ様なスタイルで特に中盤の選手達の強さや切り替えの鋭さで勝負するチームです。そして3日前の天皇杯ですでに実戦を経験していました。両者の勢いの差は明確で、試合開始直後から、相手の勢いと当たりの強さに京都の選手達は面食らっているようでした。競り合えば後手を踏みますし、パスはすぐにカットされていまう。判断が間に合っておらず混乱した様子でした。中断期間中にももトレーニングや練習試合は行われたでしょうが、それでもやはり公式戦でのプレーの強度は違ったのでしょう。

 相手が試合のペースをコントロールするタイプのチームだと、京都の選手たちに試合に慣れる時間が与えられたかもしれません。しかし、柏の選手達は「ここが勝負どころである」と気迫に満ちたプレーを見せ、余裕を与えてくれませんでした。結局この試合は、試合前の準備段階ですでに差がついていたのかもしれません。

 

CBへの過負荷

 もう少し戦術的な面に触れておきますと、柏戦での京都の方針としては、概ね名古屋戦と同じ様な戦い方をしようとしていたように思います。ただ、前述した試合勘の欠如による劣勢から、前半では特にセンターバック(CB)への負荷がかなり大きい状態でした。

 京都はいつものように前からプレスを掛けに行きますが、柏はそれほどビルドアップに固執するチームではありません。京都対策という意味もあったと思いますが、ロングボールを多用してきました。狙い目は京都サイドバック(SB)の裏です。ハイプレスを志向するだけに、京都のSBは前に出ることに意識が割かれています。前線の選手がプレスを掛けて、サイドに誘導した所をSBが前に出てカットを狙うわけですね。その意識を逆手にとって裏を狙う、京都対策の定番です。ハイラインの裏をカバーするのはCBの役目になります。序盤からCBは何度も後方にスプリントするシーンが繰り返されました。

 ここでちょっと京都のCBの振る舞いについて解説しておきます。京都のCBは相手の前線にボールが入る所を前に出て当たるのが主な役目です。その時、マンマーク気味に飛び出す事も多々あります。一度付いたら最後まで行けという感じですね。CBが前にでた所はアンカーの金子が下がる事で穴を埋める仕組みになっています。この守備のやり方は名古屋戦でバッチリ機能していました。

 ところが柏戦では、この守備がとにかく上手くいかず。前述の試合勘の話でもありますが、麻田、井上の両名がとにかく不安定だったんですね。これは柏のワントップの細谷が素晴らしい出来だったのもあります。ただ、競り合いには負けるし、ドリブル突破も許すしで散々な出来でした。それと柏左サイドのマテウスサビオも厄介でしたね。京都の守備を理解しているのか、アンカー金子の脇にポジションを取るんですね。アンカーCBSBのちょうど間。そこでマークをぼかしてからドリブルや裏抜けを仕掛ける。これも京都はなかなか対応しきれず、CBが背走スプリントする事になります。

 失点シーンについて考えてみましょう。ボールの落下点近くでは、マテウスサビオと福田が競り合っているのに、なぜ井上が前にでてクリアしようとしてしまったのか?という話がありますが、これはチームの守備戦術に従ってプレーした結果だった可能性が高いでしょう。ロングボールは特にそうなのですが、CBが前にでて跳ね返すという役割を忠実にこなそうとしただけの様に思います。ただ、この場面もそうなのですが、落下点の予測ミスが頻発していました。跳ね返せないとこうなります。井上は普段はそういうプレーをしない選手のはずなんですが・・・これも試合勘の欠如でしょうか・・・。

 また別の場面を挙げてみますと、ゴールキックなど、相手陣から長いボールが蹴られる時、おおよそ京都のSB目掛けて蹴ってきます。それに対抗するためなのか、CBがSBの位置まで出ることでクリアを試みる振る舞いが見られました。元のCBの位置には金子が入ります。相手からも狙い所とされているように、京都SBの守備は明確な弱点なのでしょう。不動のスタメンであった白井が移籍したこともあり、さらに不安が増しています。それをカバーするため、CBには大きな負担が掛かっているように見えます。プレー領域から見ても、二人で三人分くらいの守備をしないといけない状態です。

 

空虚な3バック

 後半開始から京都は3バックに変更。442で守る柏に対して、噛み合わせのズレを図ります。それが実ったのが、谷内田の幻のゴールですね。右から左にサイドチェンジを行い、フリーで上がってこれた三竿がクロスを上げました。ただ、これを見た柏もすぐさま3バックに変更してズレを解消します。こうなると困るのが京都です。京都のビルドアップは平戸と谷内田のスキルに頼っている所があり、二人が揃っていないと中央でボールを保持できません。谷内田が一人で奮闘していましたが、それでも中央を締められるとどうしようもありません。これであっという間に手詰まりに追い込まれます。京都を見ていて割りと不思議だなと思うところが、前線の選手は高さを重視している様に見受けられるのに、それでもなおビルドアップにこだわっている所でしょうか。

 飲水タイム開け、3バックの位置変更がありました。3バックの井上とアピを入れ替えます。それと同時に攻撃時には井上がどんどん前に上がっていきます。ですが、これが余計に混乱の生んでいたように見えました。井上が上がる代わりに、福田が下がってしまいます。以前としてビルドアップにトライしていたのですが、3バック右の井上が前に出てしまうと、ボール保持に必要な場所に人がいなくなってしまいます。なので福田が下がらざるを得ないと。結果的に井上がサイドに張り、福田が後方でパスを出すというちぐはぐな状況になってしまいました。井上の振る舞いを見た限り、元々用意していたとは言いづらく。前半のミスを挽回させるという意味だったのかもしれませんが・・・。井上を前に上げる事で、ターゲットが増えるというメリットも考えられるのですが、それならば左サイドから攻撃を仕掛けるのが自然に思うのですが、ボールの位置は右サイドが中心。確かに井上が上がることで人は増えるのですが、CBの井上が中盤、前線に位置取りして何が出来るだろうかと考えると、どうだったんでしょうか。

 意図が読めない3バックだけでなく、チームとして何がしたいのかが最後までよく分からない試合でした。ビルドアップするのか、ターゲットに当ててこぼれ球を狙うのか、それすらも曖昧でした。京都は戦術を細かく決めるというよりは、選手の裁量を大きくするチームです。とはいえ、名古屋戦と同じスタメンながら、3週間あいだがあくことで、ここまでチームがバラバラになってしまうのかと思うと、戦う集団として成立しているのか、不安を感じても仕方ないでしょう。

 試合全体をまとめてですが、試合に対する準備と重要度の付け方に、京都と柏で差が出てしまったという感想です。柏は京都をしっかり研究してきていました。一方の京都はどのくらいの準備をしていたのか。試合間隔が開いてしまったときのトレーニングなど、それも含めて京都がクラブとして、足りない所なんだと思います。

 

2つのファールについて色々

1つ目は、52分、谷内田のゴールが幻となったオフサイド判定。

すでにジャッジリプレイでも解説されているのですが、オフサイド判定の基準となる次の文言の解釈がよく議論されます。

● ボールをプレーできる相手競技者に、明らかにインパクト(影響)を与える明白な行動をとったとき

●“インパクト(影響)を与える”とは、オフサイドポジションにいる競技者が、相手競技者がボールをプレーすること(または、プレーする可能性)に影響を与えることで、これには相手競技者がボールをプレーする動きを遅らせたり、邪魔をしたり、または妨げたりすることが含まれる。

オフサイドに関する追加ガイダンスについて | JFA|公益財団法人日本サッカー協会

 「インパクト(影響)を与える」の部分ですね。実際のプレーでは山崎が相手DFの肩野あたりを手で触れているのですが、相手がクリアしようとした動きに対してそこまで影響が無いようにも見えます。ただ、判定の基準として相手との身体接触があった場合は、「インパクト(影響)を与える」と解釈されるケースが多いように思います(これは自分の経験則)。山崎の場合、手を使ってしまったのも印象が悪かったかもしれません。ただ、それでも審判によっては、ファール取らない人もいるんじゃないかなあと。谷内田のプレーが素晴らしかっただけに、どうにかならんかと思わなくも無いですw

 似たような事象を探してみた所、過去のジャッジリプレイでも取り上げられていました。オフサイドポジションにいた宇佐美は、ボールにプレーしようとせず、相手に対する動きも見せず、立っていただけなのですが、影響を与えたとしてオフサイドと判定されています。「相手に影響を与える」の基準は想像以上に厳しいと、そう捉えるのが良いのでしょう。

youtu.be

それと、広島戦の川村のゴールになった判定との比較がされていますが、むしろ広島戦の方がミスジャッジだったと考えた方が良いですね。

 

2つ目、81分、ペナルティエリア内で柏DFの立田の手にボールが当たった場面。

 OFRが無かった事から、主審とVARのどちらもファールは無しという判断だったはずです。自分もこれでファールは取れないという見解です。

よく「ハンド」と呼ばれていますが、正式名称は「ハンドリング(handling)」です。「手」ではなく「手を使って操る」という事ですね。

 今回の事象は、立田がバランスを崩して前に倒れた時に、手をつこうとしたらそこにボールがあった、と解釈するのが良いでしょう。おそらく、この一連の動きにはボールを手で操ろうとするという意図が挟まる余地はないように思います。仮に、ボールを抱え込もうとしたり、ボールを手で遠くに弾くような動きをしていたら、ハンドリングのファールになっていたでしょう。そこには手を使って有利にしようという本人に意志が見えるからです。

 ハンド(手)ではなく、ハンドリング(手を使って操る)。これを覚えておけば、ジャッジに対する納得感も変わるのでは無いかと思います。

 

 

(この文章はChatGPTによる添削作業を行っています)