◆はじめに
3バックか4バックか?
サッカーの戦術で常に議論されてきた話題です。
3バックは4バックに対抗するために生まれたという歴史が示すとおり
システムというのは常に必要に迫られて生まれてきたものです。
2010年代の後半になって3バック全盛か?と思わされるほどに採用するチームが増えてきました。
今回のコラムはその3バックに関する文章です。
3バックが採用される理由とは?さらにその先には何が待っているのか・・?
本文、画像、動画は以下のサイトからの引用となります。
https://www.esdfanalysis.com/match-analysis/everyone-playing-three-back-now/
以下、本文になります。
Why is everyone playing three at the back now?
The three-man backline hasn’t returned because it never truly went away.
Always in use by one team or another, always an option in emergency.
Instead, what it has done, is return to prominence at the top; with the Premier League providing the most obvious examples. Why?
なぜ再び3バックが使われるようになったのか?
3バックは決して消えて無くなってしまったわけではないので、復活したという訳ではありません。
これまでも危険な状況でのオプションとして3バックはいくつかのチームに使われてきました。
最もわかりやすい例としてプレミアリーグで、最近になって3バックが目立って使われるようになって来ているのです。
それはなぜでしょうか?
La Salida Lavolpiana
With La Salida Lavolpiana, build-up is started by the defensive midfielder dropping between the centre-backs who in turn move into the channels. With a ‘situational’ back three established the full-backs then move further up the pitch to occupy the wings.
Named after practitioner Ricardo La Volpe, his ‘exit’ is easily applied to the fundamentals of Juego de Posicion. Specifically, the occupation of the 5 vertical columns of the pitch.
「ラ・サリダ・ラヴォルピアーナ」
ラ・サリダ・ラヴォルピアーナとは、局面が変わった時にセンターバックの間に守備的MFが落ちる事によってビルドアップを始める事を意味します。
チームの状態として、サイドバックがウイングの用にピッチの幅いっぱいに広がり前進し3バックを形成します。(動画1)
リカルド・ラ・ヴォルペによって名付けられました。
彼の「脱出」は Juego de Posicion(ポジショナルプレー)の基本として採用されます。
具体的にはピッチを縦に5個にわけてその領域を使うことです。
動画1
https://vimeo.com/232225182
In the grander scheme of Juego de Posicion, this achieves multiple things.
As well as occupying the channels at the back, the full-backs pushing up to occupy the wings in attack means the wingers are then free to tuck into more central positions. Now the five verticals are occupied in attack too.
Juego de Posicion(ゲームにおけるポジショニング)の壮大な計画として複数の目的を実現します。
後方のパスコースを確保するだけでなくサイドバックをウイングの様に押し上げ、
元のウイングの選手をより中央のポジションに寄せてフリーにさせます。
そうすることで攻撃時には垂直に5つに分けた場所に選手を置くことができます。(図1)
Juego de Posicion is built around playing against a 4-4-2 defensive shape, still by far the most common defensive shape. The adoption of this situational shape creates a 3v2 at the back, and a 5v4 up top.
”Juego de Posicion”は最もよく一般的な守り方である4−4−2でに対して組み立てられます。(図2)
これを採用する事によって状況てきに後方に3対2,高い位置で5対4を作ります。
Occupation of these zones stretches the opposition to defend a wider area than they would like.
This opens up space for the players in the centre and helps to provide connections throughout the team.
As world football sees teams press higher and more aggressively the 3v2 at the back becomes just as important as the 5v4 up top.
これらのゾーン(5レーン)にポジションを取ることによって、相手チームは彼らがやりたい守備よりもずっと広げられる事になります。(動画2)
中央にいる選手たちがフリーになるためのスペースを作り、チーム全体のつながりを良くする事になります。
世界のサッカーでは高い位置からプレスを掛ける傾向にあるので、後方で3対2をつくることは高い位置で5対4を作るのと同じように重要です。
動画2
https://vimeo.com/232225669
Ricardo La Volpe on Twitter: “For me, 343 is the answer in build-up, because it generates numerical superiorities.”
「私にとって数的優位を作り出せるので、3−4−3はビルドアップの解答である。」とリカルド・ラ・ボルペはツイートしています。
Personnel
With the reasoning behind the situational back 3 explored, we now need to establish the trend for it’s more permanent use.
Perhaps the rise of the permanent back 3 was inevitable following the rise of the situational.
I would argue that it primarily comes down to personnel.
Though, this is not a contradiction as the development of personnel could well be a result of how the situational 3 has changed player demands.
選手の資質
後方に3バックを作ることをこれまで論じてきましたが、私たちは今、より恒久的な3バックの使用を確立する必要があります。
3バックが利用が増えてきたということはおそらく状況的に不可避だったのでしょう。
私はその傾向が主に選手によるものだと主張します。
3バックの使用は選手が発達して来た事と全く関係がない事ではありません。なぜなら3バックはプレーヤーが変化を要求してきた結果かもしれないからです。
Firstly, the situational 3 ideally requires a player who is comfortable playing in both defensive midfield and centre-back positions.
This is not a totally unusual skillset but neither is it an especially common one.
第一に、3バックとは守備的なMFとセンターバックが安全にプレーできる様に選手達がが要求してきた理想的な状況です。
これは全く珍しい技術でもなく、また特に一般的な物でもありません。
The increase of La Salida Lavolpiana sees full-backs tasked with the duties of wing-backs but having to do so from their positions in a back 4.
This is an unreasonable athletic demand that few can fulfil.
Changing to pure wing-backs somewhat lessens the extreme physical demand and by doing so accommodates for more technically or mentally focussed players.
”ラ・サリダ・ラヴォルピアーナ”の利用が増えてきたのは、4バックではする必要がないウイングバックの仕事をサイドバックがするようになったのが理由のようです。
これは実現することが出来ない不合理な要求です。
純粋なウイングバックに変わることによってフィジカル的な要求は極端に少なくなります。
そうすることによって、技術面または精神面に焦点を絞った選手に対応させる事ができます。
With nearly all wingers now ‘inverted’ and the position increasingly being fulfilled by players that would more classically be considered number 10s, they adapt well to being placed more permanently in the channels.
現在ほぼすべてのウイングの役割が変わっています。より古典的な10番選手の役割になるという要求がますます増えてきているポジションです。
彼らはボールの経路として配置されることに上手く適応させています。
Finally, the continuous, gradual improvement of the technical side of the centre-back game means more can be asked of them in possession.
With the switch from a situational 3 to a permanent one the emphasis to push into midfield and make the play shifts from the central player to the two wider ones.
The V-shape backline inverts.
The modern centre-back can be relied upon to play quality passes and carry the ball up into midfield or out wide.
最後に、センターバックの技術的な面で継続的に改善が見られることは、ボールポゼッションのために彼らにより多くの事が求められている事を意味します。
中盤の選手を下げて3バックへの変形が継続的に行われると、CBは中央でプレーする事からより広がったポジションを取る選手として切り替わることになります。
この時ディフェンスラインは逆V字の形になります。(図3)
現代的なセンターバックとは質の高いパスを出すことができ、中盤やアウトサイドにボールを運ぶ事ができる選手です。
Conte, Pochettino and Guardiola all use their most technically gifted defender (Luiz, Alderweireld and Stones, respectively) in the central, deep role due to the difficulty and risk that comes with receiving the ball as the lone, deepest player against pressure.
This personnel selection enables the aggression of the wider defenders when in possession.
コンテ、ポチェッティーノやグアルディオラは中央に最も技術力のあるディフェンダー(それぞれルイス、アルデルヴェイレルト、ストーンズ)を使います。
これは最も深い位置でプレスを受けることで、個人でボールを受けることは難しくリスクがある役割だからです。
彼らが選ばれているのは、ポゼッション時に外に広がったディフェンダーとして攻撃に出る事が出来るからです。
Further Spread
Since the initial rise of clubs with suitable squads making use of the back 3 shape for reasons explored previously; a number more seem to have adopted the shape seemingly for little other reason than because it was popular with good teams.
さらに広げて
ここまで説明してきた事が3バックを使うクラブが増えてきている理由になります。
よいチームが採用しているからと言うよりも、他の理由で同じような形をしているシステムを採用しているようです。
Teams such as the England National Team and Arsenal who had previously shown little inclination to structure possession around the occupation the 5 five verticals are now doing so almost by accident.
イングランド代表やアーセナルのようなチームは以前は5レーンに分けてスペースを使う形状をとる傾向をほとんど見せていませんでしたが、
偶然ではありますが、現状そうするようになっています。
But adoption of back 3 goes beyond other attacking teams and into the realms of more defensive ones.
And this stands to reason.
しかし、3バックの採用は他の攻撃的だったチームをより守備的なチームにしてしまいます。
これには理由があります。
Because the power of occupying the five verticals stems from playing against a 442 and the 5v4 situation that it creates; that in turn can be nullified by matching the 5 across the back.
4−4−2システムを取る相手に対して5レーンにポジションを取ることによって5対4の状況をつくります。
そうすると相手チームは数的同数を取るために5バックに変えてしまいます。(図4)
Additionally, teams pressing high in a 343 shape are able to once again match the opposition backline.
Negating the advantage that was previously there.
さらに、3−4−3システムに変えて高い位置からプレスを掛けると、相手のDfラインと同数にすることが出来ます。
そうなるとこれまでにあった数的な優位性は無くなってしまいます。
Future
Can an increase in defensive back 3s, or more accurately back 5s, nullify the attacking threat of the opposite shape on a global scale?
And, if so, what does that mean for the validity of the current design of the Juego de Posicion separation of spaces?If and when the 5 man defensive shape becomes the norm, should we then refocus the way we look to space and it’s division on the pitch as centred around 6 columns?
これからの予想
守備時に3バック実質5バックで守るということが増えていくと、世界規模で攻撃を無力化する流れができていくでしょう。
そしてもしそうなれば、「 Juego de Posicion」によって設計されたスペースの分割方法は有効で無くなることを意味するのでしょうか?
もし5人で守備ラインを作ることが基準となるなら、スペースの考え方を改めなければいけません。
そしてピッチを6個に分割するようになるのでしょうか?(図5)
Then, would attacking occupation of the 6 zones stretch a 5 man defence?
Is it possible to occupy as many as 6 attacking zones without losing a general balance?
Or instead do attacking teams now cycle back to an older method such as an attacking 442 that focusses on 2v1s out wide and prioritising the ability to convert crosses with large targets?
攻撃時には5バックの守備を間延びさせるために6つのゾーンに選手を配置するようになるのでしょうか?
全体のバランスを失うことなく、6人より多くの選手をアタッキングゾーンに送り込む事が可能なのでしょうか?
代わりに、攻撃時に新しいサイクルとして過去の手法である4−4−2システムによって、アウトサイドで2対1を作り出すことに焦点があてられ、
高いターゲットマンにクロスを上げることに選手の能力の優先順位が付けられるのでしょうか?