◆似たもの同士の難解なゲーム
ホーム名古屋は442。一方でアウェイ川崎のシステムは4231。ボールを持たない時は442。そして名古屋の風間監督は川崎のプレースタイルに大きな影響を与えていたり、システム、プレースタイルともに同系統のチームの対戦です。
普段追いかけていないチームということを踏まえても、レビュー記事を書くことは困難な試合です。なにしろ両チームともに、ボール保持から不定形での攻撃を主体としているからです。DFラインからのビルドアップからすでにあまりルートが定まっていません。シュートシーンを見ても、試みが成功した!という雰囲気でもありませんでした。チームというよりも選手の意思が積み重なって試合が出来ている様に思います。
自分は両チームの文脈を持っていないために、実際に起きたプレーに対して正しく捉えられなような気がします。要するに諦めています。そのため、試合を見ていて気になったポイントを書き記していく程度に収めます。
試合結果に関しては、川崎の不出来が目立ちましたね。
◆マンマーク要素の強い守備組織
どちらも442で守ると書きましたが、スペースを守るというよりは人を守る志向が強いというのが特徴として挙げられます。
特に顕著なのがサイドで、相手のSBが高い位置まで上がってくるとそのままSHがついていき5バックの様になる場面を何度も見かけました。
20:00の川崎の攻撃です。両サイドバックを高い位置にあげることで、名古屋は532の様な形になっていました。中盤が3になることで生まれたスペースを使い、PAへの侵入を成功させていました。
気になったのはSHがついていくことよりも残された選手達の動きです。特に中盤は4から3に減るわけですから、その対応をしているのかな?というのが気になりました。これは川崎の守備でも同じ事が言えます。
細かい話かもしれませんが、人につく傾向を利用して守備を動かして隙をつくる、という現象をもっと利用しても良かったのでは無いかなと思います。
◆スキルの高さゆえ
普段はもっぱらJ2を見ているので、たまにJ1の試合を見ると驚くのが選手の個人能力の高さです。ボールを扱うスキルは勿論、単純なスピード感がまったく違います。前を向いて攻撃のスイッチが入ると、一斉にゴール前に動き出し、シュートまで持っていく。
名古屋の2点目の起点となった中谷のドリブルは非常に質の高いプレーでした。CBの選手のドリブルで、あれだけ人を引きつけられたら守るのは難しいでしょう。
選手のスキルは高く、一人で局面を打開してしまうことはあります。視点を変えると、周囲のサポートは適切なのかな?と感じました。
両チームともにパスワークを得意としているのは確か。それでも何度となく相手のプレスに掛かり、自陣でボールの届け先を無くしてしまっていました。いったんプレスを掛けられるとそのまま押し切られてしまうのです。ボール保持を基調としているチームながら、ゴールキーパーを使ってプレスをかわすという手段を使わないというのも不思議でした。
選手のスキルは高くて味方もそれを信用しているために、サポートの動きは足りていないのかもしれません。問題をクリアできるからといって難しい選択肢をどんどん選んでいっている印象が残りました。
◆雑感
夏休みということで普段はやらないJ1のレビューです。
選んだチームがかなり特殊というのが原因なんですが、いつも見てるJ2とはもうベクトルが違うという感想が一番です。これは個人能力の違いが積み重なって、ゲーム全体の形を作ってるからなんでしょう。
どちらのチームも、もっと良いパス回しが出来るし、良い攻撃もできるし、もっと強いチームに成れると思うんですよね。