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2023年 J1 第21節 京都サンガ VS 名古屋グランパス ~ハンデ戦とぎりぎりの戦略~

シーズンも中間地点を折り返し、勝負の夏へと入った。アウェイに迎えるのは名古屋グランパス。最後のピースとも入れる点が取れるFWであるユンカーが加入し、優勝も夢ではない位置につけている。ただ水曜日の天皇杯では120分間戦っており、体力的に不安が残る所。そして後方と前線をつなぐ永井が累積警告で出場停止という、不安要素のあるメンバーではある。スタメンに入ったターレスは永井の代役を務めることが出来るのか、そして選手の質を発揮できるのかがポイントか。

一方でホームの京都。こちらは幸いにも、と言ってはおかしいのだが、天皇杯はすでに敗退し、休養十分で望むことができる。ただ不動の右SBの白井が衝撃の移籍を果たし、ルーキーの福田に任せざるを得ない状況。ワントップには元名古屋の山崎が久しぶりのスタメン。中盤の核となりつつある平戸と共に期待がかかる。

 

 名古屋のキックオフからゲームはスタート。いきなりチャンスを作ったのは京都。山崎のポストプレーから左サイドを木下が突破しクロスも福岡のシュートはヒットせず、ランゲラックにセーブされる。ペナルティエリアに4人入ってきたことから、京都は序盤からラッシュをかけてゴールを狙う。そして守備ではGK、CBに対しても激しくプレスをかける。夏場といえど、このあたりの振る舞いは変わらない。試合序盤から積極的に運動量を使っていくのが京都であるが、この日の名古屋にはいつも以上にそれが効く。名古屋は水曜日に120分の試合をこなしただけあって、序盤からペースをあげられない。それ故に中盤のこぼれ球争いに遅れを取るし、素早くボールを動かす京都の攻撃にもなかなかついていけない序盤であった。

 6分40秒あたり、名古屋のゴールキックからの再開は、京都の狙いが見えた場面でもある。名古屋は低い位置から細かくつないでいこうと試みようとはするが、正直なところランゲラックを始めとする守備陣のビルドアップは高くなく、京都としてもそれをわかった上での思い切った豊川のつっこみだった。ビルドアップ時には名古屋の3CBは右に二人、左に一人に構えるが、京都の3トップは同じような位置を取り、虎視眈々とカットを狙っている。また、その他の選手も、これは両者のシステムのかみ合わせによるものであるが、ほぼマンツーマンに付くことができ、京都としては自分たちの狙いを実現しやすい状況でもあった。そして、ランゲラックが困って蹴ってしまったボールが直接京都の選手に渡ったのが7:30のあたり。山崎の縦パスがチャンスを生む。依然としてペースは京都のまま。

 名古屋の攻撃は、前線3人にボールを渡す→サイドがサポートに入る→それでもダメならボランチがさらにサポートという流れである。京都の守備はまず中央、特にターレスからマテウス、ユンカーへのコースに厳重に鍵を掛けているようだった。また、アンカーの金子が、マンマーク気味に相手2トップについていく麻田、井上のカバーに入るという補完関係も成立している。運用としては金子が中央の3バックっぽい。ここ最近、川崎に変わってアンカーポジションに入る金子であるが、守備での安定性を買われてのものであろう。

 名古屋でちょっと目についたのが、マテウスとターレスの守備への意識。危ない時には結構ちゃんと帰ってくる。前はそういうイメージが無かったんだけど、そうさせるのが長谷川監督の手腕と言えるのかも。とはいえ、その守備意識からのファールによって得点が生まれるのがサッカーの理不尽さ。平戸の見事なFKをこれまた見事なセーブを見せたランゲラックであったが、混戦を制したのは山崎。京都としては、試合開始からアクセルを踏み続けた結果が実った瞬間であった。

 ここまで京都で目立っていたのは山崎。ポジションとしては3トップの真ん中ではあるが、役割的には偽9番と言って良いのかも知れない。最前線でターゲットになるというよりは、左右に動くだけでなく、時にはボランチの辺りまで落ちる動き、ボール保持を助ける。ストライカーとしての役割は木下、豊川に託している感じ。ポストプレーの出来が大変よく、京都の攻撃のアクセントにもなっていた。

 試合の風向きが変わり始めたのは20分あたりから。京都のラッシュが終わり試合が落ち着くと、名古屋の選手たちの質が目立ってくる。日本代表に選ばれた左サイドの森下の京都陣内でのドリブル回数が増え、26分には右サイド、ターレスの突破からチャンスをクリエイト。ちなみに飲水タイムから名古屋の前線の形は1トップ2シャドーに。とはいえマテウスは比較的に自由に動くので、それほど数字には意味が無いのかも。そして30分には、名古屋左サイドの森下が京都右SBの福田を置き去りにしてPAに侵入。福田が露骨に森下のシャツを掴んでいたのだが、判定はノーファイル。掴んでいたのが背中側で無かったのが幸いしたのかもしれない。それくらいしか理由が思いつかない。

 前半残り時間は、まだペースを上げたくない名古屋と、序盤のラッシュで息が続かなくなった京都で五分五分の展開。名古屋はつなぐというより、京都のライン裏を狙ったロングボール。京都は足が止まって、奪ったボールを繋げずに可能性の低いロングボール。言い方は悪いが、夏場の試合らしく雑な展開でもあった。特に何も起こらず前半はこのまま終了。

 

 ハーフタイムでの交代はお互いに無く後半開始。両チームとにもボール保持率が低いデータどおりにロングボールを蹴り合う展開。京都は山崎、木下をターゲット。名古屋はどちらかというと、DFラインの裏に落として走らせる。反転攻勢に出たい名古屋が徐々に京都ゴールに迫る。名古屋は比較的前後分断して中盤でのボール争いに不利ではあるが、京都の切り替えは前半の様には鋭くならず、プレスを回避する場面が出てきている。ゴール前でのファールもあり、55分、マテウスがFKを直接狙うも枠には飛ばず。京都は木下が高い位置でボールを奪いチャンスとなるが、これはランゲラックが素晴らしい飛び出しでクリア。この場面の様に、プレスからリズムを作りたい京都ではあったが動きは重く、得点は奪ったものの前半のラッシュが響いているようだった。

 そして押し気味に進めていた名古屋に同点ゴールが生まれたのは62分。京都はゴール前に押し込まれ、クリアボールを何度も拾われたところをフリーの和泉にシュートを決められてしまった。この局面、今シーズン繰り返されてきた京都の失点パターンでもある。

 どの位置にボールがあっても、京都の守備はマンマークを基本としている。前線からプレスをかけている時には、誰が誰に付くという基準点がはっきりとするためマンマークが威力を発揮する。ただし、自陣に引かされた時には問題が起きる。ゴール前まで多くの選手が帰ってくる守備意識はあるが、人数が余ってしまうためにマークする相手がいなくなる選手が出てきてしまう。こうして守備の基準点を見失った選手は、なんとなくそこに居るだけになり、ボールウオッチャーになりがちである。名古屋戦での失点シーンに戻ると、マテウスがPAに侵入した時点で京都の守備者は5人いたのだが、全員がボールに引き寄せられるように動いてしまい、肝心な中央ゴール前にスペースを与えてしまった。ハイプレスをアイデンティティとするチームのため守備の基準も人対人に設定しているのであるが、こう何度も繰り返してしまうと、相手チームにも狙われていそうである。ただ、構造的にそうなってしまうのは、ハイプレスの威力を出すために捨てているのかもしれないけれど。

 得点を取った名古屋はターレスに変えて酒井を投入。ただ同点に追いついた事もあり、ちょっとペースを落とす名古屋。どちらかと言えば元々のスタイルである、低く構えたカウンター志向に戻したという感じ。70分の飲水タイムで名古屋は更に選手交代。米本と山田が中盤に入る。一方の京都はまだ交代枠を使っていない。そんななか、ユンカーがセンターサークル付近から一人でボールを運びシュートを放つというとんでも無いプレーを見せるが、バーに弾かれゴールはならず。もし決まっていたら年間最優秀ゴールだっただろう。3人がドリブルでかわされた様に、京都には体力的に限界がきている選手が出てきている。75分、スタメンを引張りに引っ張った京都がここで初めての交代、パトリック、谷内田、山田を3人交代で勝負を掛ける。終盤はオープンな展開に、京都は交代で入った谷内田、山田を中心に右サイドアタック。名古屋はユンカー、マテウスのカウンターアタック。最後に広大なスペースを有効に使えるのはどちらか。

 最後に勝負を制したのは京都。コーナーキックからのニアサイドすらしというパターンは前半から試みており、パトリックが見事に期待に応えてくれた。試合はこのまま2-1で終了。京都は上位陣相手に価値ある勝ち点3を獲得した。

 

【ひとりごと】

ハンデ戦という整った状態での試合を注文通りに勝てたということは良かった。相手が運動量に不安があるなかで、抑え気味で入るであろう事を見越したキックオフからのラッシュ。最後には足が止まるであろう事を予想して、ギリギリまで粘って仕掛けた3人交代。これらの戦略がハマった試合となった。・・・3人交代は粘りすぎて逆転されてもおかしく無かったけど。まあ、プロの試合というのは、これだけ紙一重の勝負であるという事なんだろう。

 アンカーっぽいアンカーをこなせる金子や、キックの精度で違いを見せる平戸と谷内田。このあたり、ちょっとチームが変わって来たなという雰囲気はある。それだけに、これまでスタメンだった選手たちには奮起を期待したいところ。

 

(この文章はChatGPTの協力を得て作成されました)