「ボランチが大きな展開でサイドを変えます。」
「鋭いクサビのパスが入りました。」
「サイドを変えられても、守備ブロックを素早くスライドさせて対応できています。」
「スピード…判断…フィジカル…全てがワールドクラスのプレーですね。」
「6分?ふざけたロスタイムだなぁ。」
サッカーの中継を見ていると、こんな解説をよく耳にします。
解説者は実際に起こったプレーを説明するのですが、
見ている人達にとって本当に解説になっているのかな?と感じた事があります。
解説を理解するためには見ている側にある程度の知識が要求されます。
それは一つ一つのサッカー用語の意味です。
サッカーは曖昧なスポーツで、言葉で表現することがとても難しい。
短い時間であれこれと説明している暇がないのは全くその通りなのですが、
それにしてはサッカー用語の意味であるとか、セオリーに対する説明が足りてないんじゃないでしょうか。
サッカーの言葉を丁寧に掘り下げてみれば、プレーの意図や意味を掴めるようになるんじゃ無いかと思います。
というわけで、第一回のネタは「ラインを上げる」です。
「ラインを高く保って全体をコンパクトに出来ています。」
「全体が引きすぎているので頑張ってラインを押しあげたい。」
「ラインを下げているので裏のスペースがありませんね。」
と言う感じで使われているあれです。
○ラインとは?
ラインとはDFラインの略称です。
DFが直線に並んでいる形をDFラインと呼んでいます。
フォーメーションが3−6−1の場合は三人、4−4−2なら4人でDFラインを作ります。
DF全員を表すために「DFライン全体」と呼ぶこともあります。
○高い、低い
DFラインの位置は「高い」「低い」という言葉で表現されます。
DFがゴールに近い場所に居ると「DFラインが低い」。
逆に遠い場所だと「DFラインが高い」。
DFラインが低い位置に移動することを「DFラインを下げる」。
高い位置に移動することを「DFラインを上げる」。
という風に使われます。
DFラインがこの場所から前だと高い、という様な目安は特にありません。
「高い」「低い」は見ている人の主観で使われている言葉です。
○DFラインの位置を決める基準
試合中にDFラインの場所の基準になる選手がいます。
3バックなら中央のCB、4バックなら左右どちらかのCBが行っている事がほとんどです。
チームの決まり事としてあると思いますが、実際に試合中にラインの位置を決めているのは選手の判断です。
DF全員の位置を決める、さらにはチーム全体を動かす事になるので重要な役割です。
DFラインの位置を高くしたり低くしたりする事を「ラインコントロール」と呼びます。
当然このラインコントロールが上手い、下手な選手がいます。
○DFはどうしてラインにする?
DFラインは文字通り直線に並ぶ事が良しとされ、これはオフサイドというルールが大きく関係しています。
では凹凸があると何が良くないのでしょうか。
図の様に一人だけDFがずれたポジションを取ってしまうと、守備側にとって危険な場所が出来てしまいます。
オフサイドにならない、さらにDFが対応できない、という具合です。
この場所を攻め側に使われると、パスをFWに出された時点で勝負あり。
守備側がシュートを防ぐ事は難しいでしょう。
攻撃側のFWはその場所に居るだけで、大きなチャンスを作ることが出きるのです。
これほど極端の例が起きることは少なくて実際はもうちょっと色々あります。
説明のために単純にしています。
とにかく、ここで覚えて欲しいことは
DFが一直線に並んでいないと危険なスペースができる。ということ。
長くなりそうなので、後編に続きます。
こちらになります