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2021年 J2リーグ 15節 アルビレックス新潟 VS 京都サンガ プレビュー

 

試合情報

明治安田生命 J2リーグ 第15節
2021.5.23 14時 キックオフ
アルビレックス新潟(1位/10勝3分1敗/勝ち点33/得点32 失点11)
×
京都サンガF.C.(3位/10勝2分2敗/勝ち点32/得点25 失点10)
@デンカビッグスワンスタジアム

 

直近5試合の戦績

アルビレックス新潟 ○○○△●

※前節、開幕から13試合続いていた無敗記録がストップ

 

京都サンガF.C. ○○△○○

※9試合連続で無敗継続中

 

試合数×2というリーグ優勝が狙えるハイペースで勝ち点を重ねる2チーム。直接対決の結果次第で順位が変わる可能性もあり、熱が入らない訳はない。開幕からの負けなしがストップした新潟は、リバウンドメンタリティを見せることが出来るのか。際どい勝負をモノにし続ける京都は流れを継続出来るのか。

プレースタイルも大きく違う2チームの対決はただの首位決戦にあらず。今後の展開にも影響を与える試合になるだろう。必見だ。

   

怪我人、出場停止情報

【アルビレックス新潟】

・前節より鈴木孝司がスタメンに復帰。

【京都サンガ】

・前節、武富孝介が怪我から復帰しベンチ入り。

・ウタカ、宮吉は前節ベンチ外。

予想スタメン

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展望

◆アルベルトがしかける罠

新潟の監督はスペイン人のアルベルト。J2のスペイン人監督というとリカルド・ロドリゲス&ロティーナになるわけだが、2人とはまた違ったサッカーを見せている。アルベルトがボールを大事にする行為は変わらないのだがその目的が異なる。

前半に特に顕著に現れるのだが、積極的に前にボールを運ぶ姿勢を見せない。CBからSBへ渡ったボールがまたCBへと戻り、ボールを持つためにボールを持っている様に見える。ただしここに罠が仕掛けられている。新潟のボールは保持の狙いはボールを動かすことで守備を動かし体力を削る事にある。そうして相手に溜めた疲労を12番目の味方として後半に勝負を掛ける。これが基本戦略。

 もう一つ、ボール保持に仕掛けられた罠はカウンターだ。ボール保持からのカウンター、矛盾しているように聞こえるが、新潟は自陣ゴール近くでひたすら横パスを連打することで、相手が焦れて前に出てくることを期待している。そうして前掛かりになった隙を付いて一気に攻撃をスピードアップさせる。また試合全体を通してエネルギーを使っているのは攻撃よりも守備である。前線からのプレスでショートカウンターも積極的に狙ってくる。CF、SH、トップ下の三人が連携によってボールの囲い込みはうまい。ボール保持の時間が長さは、ボールを奪い返す上手さの裏返しでもある。

アルベルトのサッカーから「自分達のバランスは崩さずに相手のバランスを崩す」というベースラインが聞こえてくる。そこはやはりスペインの流儀なんだろう。

 

◆新潟のボール保持VS京都のハイプレス

新潟の特徴とも言える後方でのボール保持。このレベルは非常に高い。相手FWの数によって最終ラインの人数合わせをすることで、ボール保持を安定させている。ただ京都の守備体系は4-5-1と前線は奇数なので、最終ラインを4から変形させる事はないだろう。CBにはSBとしての適正もある早川が入ることもあるが、ウタカがワントップに入ることを考えると、舞行龍と千葉のCBコンビにして強度を高めると予想している。

舞行龍と千葉のCBは守備能力だけでなくボールを扱いも上手く、ダブルボランチとGKのサポートも適切だ。特にGKの阿部は両足ともに使いこなせる。これによって右CB→右SB→GK→一つ飛ばして左SBといった経路を通し、相手プレスを無効化してしまう。

強力なボール保持に相対した相手は、気持ちが折れてしまい積極的にボールを奪いに行く姿勢を失ってしまう。そうして自分達のペースに引き込み、試合のペースをも握るのが新潟のサッカーだ。

ご存知の通り、京都は前線からの激しいプレスを守備の基本としている。予想では休養を取ったウタカをワントップとしたが、前線からプレスを掛ける守備力を考えると李忠成の選択も十分に考えられる。ただ前述したように、新潟は前線からのプレスを逆に歓迎している節もあり、自分たちのスタイルとはいえ、非常にリスクのある行為と言えるかもしれない。

GKをも組み込んだ新潟の強力なボール保持に対して、どれだけプレスを響かせることが出来るのだろうか。それとも判断を変え、4-5の守備ブロックからのミドルプレスを主体とするのか。どちらにせよ、試合の結果を左右する大きな焦点になるだろう。

 

◆本間至恩へのリスペクト

彼には注目せざるを得ないだろう。新潟は彼を活躍させれは歓喜が沸き起こり、京都が彼を封じ込めれば勝ち点3に近づく。

後半に勝負を掛けるという新潟の戦略は本間至恩を最大限に活かす目的もあるだろう。本間は強力なカットインシューターでもあり、マークを自分に引き付けてフリーにする、周りを使うプレーも出来る選手。左サイドでのローテーション、本間、高木、堀米のポジションチェンジには要警戒だ。それでもやはり一番警戒すべきはカウンター。強気な攻め残りでサイドからスタートする本間へのボールを100%防ぐというのは難しい。バイスが一人で対応する場面をつくられてしまうと、もうその時点でゲームオーバーだろう。論理を手繰っていくと、新潟の戦略は本間至恩を活かすために組み立てれている様に思える。

京都のいつものボール保持ではSBを高く上げる。つまり本間をフリーにさせる可能性が高い。本間とマッチアップする回数が多くなる右SBの飯田のポジションをどこに設定するのか。守備を考えて控えさせるのか。高いポジショニングで逆に本間に守備を意識させられるのか。

また、ショートカウンターはともかくロングカウンターになると、本間への経由地点となる高木を抑えるという選択肢もある。高木はボールを受けられる位置を見つけるのに長けていて手を焼くことだろう。京都のアンカーポジションを取る選手の責任は重大だ。

 

◆まとめ

いくつかのポイントを見てきた。スタイルの相性を考えると新潟に分があるのではないかと思う。京都がやりたい事は新潟から見るとむしろ歓迎すべきなのだから。実際にボールを握るのも新潟になるだろう。新潟のボール保持は強力な一方で、いさビルドアップをミスすると脆さを見せる面もある。京都が狙うとしたらそこになるだろうか。いずれにせよ、プレスを続け我慢強く守備をすることが重要になってくるだろう。

首位を争うだけでなく、正反対の哲学が真っ向からぶつかり合うのは大変興味深い。結果はどうなるにせよ、面白い試合になるのは間違いないだろう。