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サッカーブログです。

書評 モダンサッカーの教科書Ⅳ ~新たなるスタンダード~

シリーズ第四段

刊行されるたびに、毎回楽しく読ませて頂いているのですが、今回は特に良かったので紹介させていただきます。

モダンサッカーの教科書は、元ボローニャの分析担当であるレナート・バルディ氏と片野道郎氏により、対談形式で現代サッカーの分析を行うシリーズです。教科書というだけあって、サッカーを見るための基準を与えてくれる良書です。

このシリーズの第1段で紹介された「レナート・バルディの分析フレームワーク」があります。試合を攻撃、攻撃から守備への切り替え、守備、守備から攻撃への切り替え、という4局面に分けて、それぞれの局面でのチームの振る舞いを分類して、どの様な特徴を持ったチームであるかを浮かび上がらせます。

当ブログでもチーム戦術を分析しているときは、このレナートバルディの分析フレームワークを使わせてもらっています。チーム戦術を説明するのにとても便利に扱えるんですよね。

www.tomex-football.net

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分析フレームワークのアップデート

第四段である今作では、分析フレームワークのアップデートが軸となって進められていきます。それぞれの局面での振る舞いをより細かく分析を行おうという試みです。

 例を挙げると、守備の局面のプレッシングとして、相手GKやCBまでプレスを掛ける「超攻撃的プレッシング」、CBから出たボールに対してプレスを掛ける「攻撃的プレッシング」、自陣まで引き込んでから行われる「ミドルプレス」という様に分類されていました。

 今作では、プレッシングにしても、方向づけの分類として、「内に追い込むか」「外に追いやるか」。人数の掛け方の分類として、「数的均衡でのプレス」、「数的不利でのプレス」という分け方をされています。

そして、ただ分類を細かくするだけでなく、そのチームが選択にはどの様な意図があるのか、それによって試合ではどの様な現象が起きると予想されるのか、という所まで解説されています。また局面毎にキーワードが取り上げられています。「プレッシングのセットプレー化」「ミドルプレスからハイプレスへの移行」「第一プレッシャーライン」「トリガー」これらの用語解説も大変興味ぶかかったです。

四局面での振る舞いの種類を学ぶことで、ゲーム中に起きている現象の理解につながるように本書は構成されています。この本を読むことで、ただ試合を楽しむのではなく、試合を理解できるようになるのではないかと思います。

 

まとめ

プロの分析官が語っている内容だけに、とっつきやすいか?というと決してそうではないんですね。けれども、「きっとサッカーの専門的な話が望まれているはずだ」「この内容でも十分に読者はついて来れるだろう」そういった著者の心意気があり、それにしっかりついてくる読者がいることで、この様な本が出版されているのでしょう。

テレビ番組でやっているような解説では満足できない、もっとサッカーの事が知りたい、そういった方々の要求にしっかり答えてくれる本であることは間違いありません。