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2023年 京都サンガ シーズンレビュー ~成長という名のマジック~

 2023年シーズンが終わりました。2年連続で残留を果たし、ほっと一安心という所でしょうか。京都サンガの最終成績は、12勝4分18敗の勝ち点40で13位。昨年の成績に比べると勝ち点は+4で順位は+3。チームの立ち位置を鑑みると、少しではありますが向上させる事ができたので、まずまず良い結果だったと言えるでしょう。では、振り返りとして、毎年恒例となりましたシーズンレビューを書かせていただきます。

 

過去のシーズンレビューはこちら↓

京都サンガ 2022シーズンの展望 ~2021シーズンレビュー を添えて~ - Take it easy

2022年 京都サンガ シーズンレビュー ~勝っても負けても大事なのは次の試合~ - Take it easy

 

 

チームの本質

 試合内容やクラブ内外の話などをこれから書いていくのですが、最初に自分が2023年シーズンで一番印象に残った試合を挙げておきたいと思います。それは第17節のアウェイ新潟戦です。

 その時チームは6連敗中で8試合勝利なしと、どん底の状況でした。アウェイとは言え、これ以上の負けは許されない試合の前半、セットプレーから豊川が先制点を奪います。リードしたままハーフタイムを迎えるのですが、監督の決断は3バック(5バック)への変更でした。先制点を大事にしたい、どうしても勝ちたい、そうした気持ちがその判断をさせたのでしょう。しかし、それは裏目に出ます。後方の数を増やしたことで気持ちが後ろ向きになった京都の選手たちは、ボール保持に長けた新潟相手に自陣ゴール前に釘付けの状況になってしまいます。左右に振り回され、前半とは打って変わって一方的に守勢に回る展開になってしまいました。そしてついに失点、このまま逆転されるのも時間の問題かと思われましたが、一美とパトリックがチームを救います。特に一美は相手陣でのパスカットとPKゲットという大きな貢献を果たし、京都に勝利をもたらしました。

 この試合の勝利は非常に大きなものでした。これ以上の連敗は監督の進退が問われる可能性もあったからです。現在の京都は、監督のパーソナリティが全面に押し出され、チームを引っ張るアイコンの様に扱われています。けれども、実際には選手達が監督を支えている、助けているチームなのだと思います。監督の判断ミスを選手達の頑張りによって挽回した試合として、新潟戦は非常に印象的でした。1年通して、主力ではなかった一美がそうした仕事を果たしたことは示唆に富んでいます。

 

難しい評価

 Twitterでのサポーターの賛否の声からもわかるように、京都は非常に評価が難しいように思えます。「2年連続で残留を果たしたことは評価できるが、このまま続けて果たして一桁順位にたどり着けるのだろうか?」というのが自分の正直な気持ちです。

 一つ仮説として、試合ごとのパフォーマンスの波が大きい事が、評価を難しくしている原因ではないでしょうか。

調子良く勝ったと思ったら次の試合は急にグダグダしたり、その逆のパターンもあります。まあ、試合内容がなかなか安定しない原因については、おおよそ検討はついているんですね。

毎週、対戦相手の試合をチェックし、戦術を練る。一方で、指導者が選手に対し答えを全て出してしまっては、選手が状況、状況に応じて的確な判断ができなくなる。そればかりか判断することをやめ、他人任せのプレーが横行する。こういうプレーが多い時のチームは、負けたという結果以前に修復に時間がかかることが多い。

 指導者は教える、選手は聞く。そうした主従関係で成り立つサッカーは、エネルギー自体が不自然なものになってしまい、「不公平な関係から形作られたもの」の域を越えることができない。「一方が正しい」ではなく「双方が納得できる」というエネルギーに、プレーしている選手、観ている人の心は動かされるのだと信じている。

どうすれば選手に心が伝わるか――。湘南・曹監督が考える理想の指導者。 - Jリーグ - Number Web - ナンバー

 過去のレビューでも触れているのですが、監督の方針として、プレーに関して大きな裁量を選手に与えています。それ故に、個人の出来不出来がチーム全体に影響を与えてしまいます。個人戦術→グループ戦術→チーム戦術という図式です。結果として試合運びも不安定なものになります。ただ、選手の大きな裁量は、何試合か毎に起きる爆発力の要因でもあるのですが、安定した強さを身につけるにはやはり難しい環境だと思います。これはもう現体制が始まった時から一貫しているので、特に今更言うことでも無いですね。

 

 もう一つ「成長」について。監督が試合後コメントに使うので、サポーターの間で、頻繁に話題になったワードです。ただ、残念ながらあまりポジティブな話題ではなかったようです。「成長」その言葉の意味の解釈の違いによって、余計なトラブルを生み出していたようです。

 

 では、チームや選手としての成長とは、一体なんなのでしょう?試合に勝てば成長なのか?では、試合に負ければ成長していないのか?良い内容の試合をすれば負けてもそれは成長と言えるのか?それまでに出来なかったプレーが生まれたことは成長と捉えて良いのか?スプリント回数が多くなれば?当たりに負けなくなれば?試合終盤にも走れるようになったら?・・・

 成長という言葉を使うのならば、何を目指しているのか、目標をもっと明確に具体的に示す必要があるのではないでしょうか。

 私が考える成長の定義は、現時点から目標に近づけた事を示す事、になります。「成長」の解釈が各々で割れてしまうのは、京都サンガがどのようなサッカーを目指しているのか、目標がはっきりしていないからでしょう。もちろん、ハイラインハイプレスといった大枠は定まっています。ただ、その次のプレースタイル、どうやって攻める、どうやって得点を取る、どうやって守る、どうやって失点を防ぐ、具体的に答えられる人はそれほどいない気がします。というよりも、そもそも型が存在しないという方が正しいでしょうか。

 

しかし、こういった不安定で曖昧な状況が続いているのも、クラブが目標というものを雑に扱い続けて来た歴史の積み重ねなのかもしれません。

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キャッチーなメッセージ

 チョウ監督が就任して丸三年。来季の契約も決まり、4年連続で同じ監督が指揮を取るのは、京都サンガとしては初めてのこといなります

 よく知られているとおり、監督が発信するメッセージには力があり、選手を付いて来させるだけのエネルギーも感じます。Jリーグの監督の中でも、プレゼンが非常に上手い部類に入るのではないでしょうか。ただ、付き合いも長くなってくると、ちょっと気になる所も出てきます。

 ホーム最終戦で毎年セレモニーが行われます。そこでも監督からサポーターへのメッセージが送られるのですが、そこで毎回ちょっとしたウケを狙うコメントを挟むんですよね。監督の演説の上手さとサービス精神からそうしてるのだと思います。セレモニーなのでそれはそれで良いのですが、聴衆に対して面白がってもらおう、そういう癖のようなものがあるようです。

 

次に、シーズン前にチームの方針について語られた過去の記事を見てみましょう。

独自の「サッカー言語」が飛び交う。「リードアクセル」「ホールディング7」「シャトル」…。一度聞いても意味がわからない用語が、ピッチ内外の各箇所にちりばめられている。

【ポジション編】(カッコ内は一般的な呼び方)

 ▼BB(インサイドハーフ) Box to Boxという英国サッカー用語より。Boxはペナルティーエリアの意で、両方の「Box」で攻守に絡む

 ▼コマンド(センターバック) 主に最終ラインの高さを指示する司令官

 ▼シャトルカバー(GK) ゴールを守るだけでなく、最終ライン裏のスペースをカバーする

 ▼スイッチ(サイドFW) 攻撃の起点だけでなく、守備の先陣も切るスイッチ役

 ▼クリエーター(センターFW) 攻撃のアイデアを出す役割

京都・チョウ貴裁監督の独特すぎるサッカー用語「リードアクセル」「ホールディング7」…命名の根底にある信念 : スポーツ報知

 

京都は3日、メディア公開練習を行った。ピッチを縦に7分割したラインを引いてサイド攻撃の意識を高めるなど1時間30分の汗。5日に予定されているプレシーズンマッチ・ティアモ枚方戦(JFL)、そして19日のリーグ開幕・浦和戦(サンガS)へ向けて調整した。

プレシーズンマッチの相手変更も、京都チョウ貴裁監督「試合ができなくて残念なのはガンバさんも同じ」― スポニチ Sponichi Annex サッカー

 

京都のチョウ貴裁監督(53)が13日、今季のチームモデルとしてイングランド・チャンピオンシップ(2部相当)の首位バーンリーを取り入れていることを明かした。

元々クロップ監督率いるリバプールの信奉者。ミーティングでもリバプールのクラブ名を挙げて選手にゲキを飛ばすこともある。その一方で「リバプールはベスト・オブ・ベストのチーム。選手が映像を見たときに掛け離れすぎている」とも感じていた。「一気に飛ぶのも大事だけど、一歩ずつ踏んでいかないといけないものもある」。頂上を見つつ、足元を固めるためにバーンリーは最適だった。

京都チョウ貴裁監督 今季モデルクラブとしているのは…「彼らの攻撃にヒントを得た」― スポニチ Sponichi Annex サッカー

 バーンリーについて少し解説すると、昨季イングランドチャンピオンシップ(二部に相当)を優勝したチームです。1試合平均ボール保持率が60%を越える、極端にボールを持つチームです。

 特殊なポジションの呼び方も7レーンもバーンリーも、ピッチ上のどこにも見つけることが出来ませんでした。これは、京都サポだけでなく他サポも同意できるのでは無いでしょうか。取り組んではいたようですが、どこまで本気でやろうとしていたのかは、周囲から伺い知れない所ではありますが。

 これらの発言、メディアに対してインパクトを残す意味合いが強そうな気がするんですね。監督の持つサービス精神と合わさって、京都を注目してもらおうという気持ちは分かるのですが、本質とも言えるサッカーに関わる発言なだけに、一人のサポーターとして見過ごすわけにはいかないんです。与えられた期待と実際にピッチで起こっている事の剥離を感じると、非常にがっかりするんですね。その程度の意味しかなかったのかと。

 監督のメディア向けの発言とその実行力については、もっと議論になっても良いはずです。それがチームの目標と同義だからです。残留を果たしているのだから多少は目をつぶるべきなのか、それとも目標の未達であると追求すべきなのか。あなたの考えはいかがでしょうか?

 

監督が見せたスタイルへの迷い

「走る、戦う部分は就任した2年間で根付いた。次はバーンリーじゃないけど自分たちのコントロール下で得点を取れるかどうか」

 目標に掲げられていたとおり、今季の京都はビルドアップ、ボール保持に取り組んでいたのは確かです。以下に挙げたのは、試合中にGKから短いパスを繋いでいくビルドアップを意図的にトライしていた試合になります。

・第1節  VS鹿島

・第2節  VS名古屋

・第22節 VS柏

・第23節 VS東京

・第30節 VS湘南

・第31節 VS新潟

共通しているのは、開幕前のキャンプ、和歌山キャンプなど、試合前に十分な準備期間があったこと。ここでビルドアップのトレーニングしていたと考えられます。ただ、いずれの試合も内容に乏しく、サポーターは落胆し酷評を受け、3度のチャレンジはいずれも失敗に終わりました。

 気になるのは、この新しい取り組みを2試合で止めてしまっていることでしょう。上手くいかない試合を続けて、勝ち点を落とし続けると不味いというのは理解できます。しかし、新しいスタイルへの挑戦をそう簡単に反故にして良いものなのか疑問に感じます。どうしても付け焼き刃という言葉が浮かんでしまいます。

 ただ、「試合をコントロールしたい」という取り組みは十分に分かるんですね。自分でも何度かブログに書いていたのですが、京都がさらにステップアップするためには、安定した試合運びをするために、ボールを保持する時間を増やすことは必要な事です。

 監督としても、現状を打破するためにやりたかったのだと思います。監督自身が志向しているサッカーとして、ハイプレスと攻守の切り替えはすぐに浮かびます。その戦術の独自性がJリーグの中で存在感を示していたのは事実でしょう。ただ、年月が経過していくうちに、独自性が薄れてきたのもまた事実です。ハイプレスの有効性、切り替えスピードの強調はすでにスタンダードであり、上位に位置するチームならばどこでも標準装備するものなりました。ハイプレスは当たり前、そこから先の、どれだけ効果的にハイプレスをかけるのか?というのに焦点を当てられています。

 チョウ監督としても、自分の持ち味が標準になりつつあり現状を認識し、このままでは先細りになるのでは無いかという危機感があるのでは無いでしょうか。そういった背景が、ボール保持に向かわせたのでは無いかと想像しています。ただ、それでもスタイルの変更に迷いがあるのか、非常に中途半端に終わったのは残念です。毎回2試合で止めてしまうのもそうですし、試合後の選手からも「意思統一が出来ていなかった」といコメントが散見されました。

 前段でふれましたが、プレーの判断は選手に委ねられているだけに、後方からのビルドアップの様にある程度パターンが決まっているプレーでは、その構築を難しくしていたようにも思います。監督の指導方針を変えることは無いでしょうから、ビルドアップやボール保持を本当に取り込みたいのであれば、その分野の指導に長けたコーチの加入であったり、得意とする選手の加入が必要な気もしています。

 キャリアの分岐点として、スタイルのアップデートは本当に必要なのか、そういった監督の迷いが見えたシーズンでもありました。スタイルの拡張についての課題は、来シーズンに持ち越されることになります。

 

選手短評

特に目立った活躍をした選手達の短評です。

・豊川 雄太 27試合出場 1713分 10ゴール 1アシスト

 京都に来て2年目でストライカーとしての才が花開く。自身初の10得点を記録しました。 常にエネルギーに溢れ、攻守に渡ってチームを引っ張る存在でした。個人的MVPです。野性的なスキルを発揮して突破するかと思えば、巧みなフェイントで相手を翻弄することもあり、ストライカーとして非常にバランスの取れた選手だと思います。また、山崎選手と良い連携をみせたり、相手守備の嫌がるところにフリーランをしたり、相手を見たプレー選択をしていのも個人的にはポイントがたかったです。月間ベストゴールに選ばれた一連のプレーは見事の一言に尽きます。来季もまた京都の点取り屋として活躍して欲しいですね。

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・原 大智  13試合出場 957分 7ゴール 4アシスト

 キープ力があって、チャンスになるパスを出せて、シュートも上手くて、1対1のドリブル勝負ができて・・。これはウタカの特徴です。そんな選手は他にいるんか?となるんですが、いましたね。それが原大智です。シーズン途中からの加入となりましたが、圧巻のプレーでしたね。ちょっと他の選手とはレベルが違っていて、J1の中でも上位に入る能力かと思います。ウタカと差がある所でいえば、鋭いクロスを左右両足から上げられる事でしょう。そのぶんスピードには欠ける所はあり、そのぶん周囲のサポートは必要かな。なぜ欧州から京都に来たのか不思議ではありますが、選手に自由が与えられている京都があっているようにも思えます。ボールを預けさえすれば、何かをしてくれる期待を持たせる存在で、このような選手が京都にいることを素直に楽しみたいですね。

 

・金子 大毅 26試合出場 1830分 1アシスト

 昨シーズンはインサイドハーフでの起用が多かったのですが、今季アンカーとして固定され、ようやく持ち味を出せるようになりました。以前より守備的な仕事でも目立っていましたし、後方のポジションがあっていたんでしょうね。京都のMFの中では体格が良い方で、パス回しの交通整理やDFラインに入っての守備など、地味ながらチームを支える仕事をこなしてくれました。狭い場所でのボールキープや、豊川へのアシストなど強いパスを通すといったプレーにも伸びしろを感じさせます。同じ仕事をできる選手が今のところ見当たらず、替えの効かない選手の一人でしょう。

 

個の成長の表裏

 曹監督は若手の育成手腕に長けていると評価されることが多い指導者です。ただその評価は正しくもあり誤りでもある、と私はそのように感じるようになりました。

 京都は完全なマンツーマンディフェンスを志向するように、極めて強い個人主義の元でチームが構成されています。一人で局面を打開する、攻守に渡ってそのようなプレーが望まれています。サッカーという競技をプレーするには非常に厳しい環境ではありますが、責任の所在が明確になりますしプレーの機会も増します、高い負荷ゆえに若い選手は鍛え上げられるとも言えます。

 しかし、攻撃的なポジションの選手にとっては、その負荷が過剰であるように感じます。前線の選手達に求められているタスクは以下になります。

・高い位置からのプレッシング。

・深い位置まで守備に帰る。

・相手ゴール前での局面を打開する。

 監督の要求は高いと口々に語られています。確かにこれらのタスクを実行できるならばとんでもない選手が育つでしょう。しかし、これらのタスクを完璧にこなしている選手を見たことがありません。こなそうとするとパンクしてしまうからです。京都の攻撃的なポジションで、若手が成長するのは相当困難であると言えます。

 今シーズン、3トップのスタメンに入るのがパトリック、山崎、豊川、木下と言った、経験の豊富な選手達が多かったのは、与えられたタスクと自分の運動量を相談した上での判断が出来ていたからでしょう。具体的に言うと、ハイプレスに関しては何でもかんでもボールに向かうのでは無く、状況の良い時だけプレッシングを仕掛けていました。

 若手選手にこの判断を求めるのは難しい様に見えます。走りすぎてしまうのです。プレッシングはチームの代名詞とも言えるプレーですが、そればかりに意識が向き、プレスを掛ける掛けないの判断が上手く行かず、ただ走り回るばかりで体力を消耗してしまうのです。そうして肝心な場面で質を発揮できなくなり、得点をとるという本来の役割を果たせなくなってしまう。若手だけで無く、監督の指示を忠実にこなそうとする責任感の強い選手にも同じ傾向がありました。試合中にそういった選手達を見るのは非常に辛いものがありました。彼らはただチームに貢献しようと必死なだけに。

 ハイプレスに関して話をややこしくしているのが、原大智の存在でしょう。前述したとおり彼は卓越した攻撃能力を持っており、戦術眼を持ち合わせています。それ故にか、守備に関しては控えめな姿勢を見せています。攻撃能力を生かすためにそう判断してるのでしょう。それはそれで正しい判断に思えますし、スタメンに出続けている以上、その判断は評価されているのでしょう。

 ここから察するに、ハイプレスは重要なスタイルではあるけれど、それが絶対では無い。隠れた評価点があるように見えます。その評価点を見つけるのも、その選手の判断能力と言えるのかもしれませんが。そういった選手評価の曖昧さが自分は嫌なんでしょうね。

 ハイプレスが絶対だと判断している特に攻撃的なポジションを務める選手達、ちょっと心配している所はあります。「この選手、こんな感じだったかな・・?」名前は挙げませんが、プレッシングの罠にハマっていそうな選手がちらほら。「とにかく良く走る」の次に特徴を表す言葉が出てこない選手は黄色信号です。とにかく良く走るというだけの選手にはなってほしくないのです。何のために走るのか、走ることの意味をもっと追求してほしい。

 

前目のポジションに比べて、後方の選手は育ちやすいと言えます。求められるタスクがシンプルであるからでしょう。マンツーマンディフェンスを志向しているのも、ディフェンスの選手にとっては鍛えられる環境を作るという意味合いもありそうです。サイドバックの選手なんかは特にそうですね。上下動と繰り返し行われる1対1、自分でなんとかしなくてはいけない、というのは変わりませんが、粘り強く起用し選手がそれに答えてくれればレベルアップにつながります。

今年で言えば良くも悪くも福田の名前が挙がります。白井の移籍により本職の右サイドバックが一人だけになり、強制的に成長しなければいけない状況になります。起用された当初は拙いプレーが多くかなりの批判を浴びていましたが、終盤にはなんとかやっていけそうという評価まで得られたのは彼にとって自信になっただろうし、素直にがんばりを評価してあげたいです。福田が成長してくれて本当によかった。プロの壁に押し潰されてしまうのではないかと心配していました。

 ただその成長もチームに多くの負担を強いるものであったのは確かです。福田がスタメンで固定されてから、右CBに入った選手に次々とアクシデントが起きていました。

 ・23節ホーム東京戦 井上 負傷交代

 ・25節ホーム福岡戦 アピ レッドカード

 ・26節アウェイ神戸戦 麻田 負傷により間接的に失点の原因

 ・29節アウェイ鳥栖戦 アピ レッドカード

2枚のレッドカードは正直どうなんだとも思いますが、偶然も3度を超えれば必然です。右CBに入った選手に大きな負荷が掛かっていたのは確かです。ですが、福田の起用が他の選手にどう思われていたのか邪推してしまいます。福田の成長は、個人が成長すればそれで全てOKと言えるのか?という疑問を投げかける出来事でもあったと思います。

 その他、全体的に言えることとして、京都の選手は、味方との連携を作りあげるのを苦手としています。オーバーラップを掛けた選手が、内に行くか外を回るのかを周囲の選手がわかっていなかったり、相手選手を二人でマークしているのに1対1と同じ感覚で守り、二人で同じ方向を切ったり、と言ったお粗末なプレーを未だに見かけます。極端な個人主義は、個人の成長を促すものではありますが、チームプレーの構築を阻害するという欠点も存在します。移籍していった選手がそろって苦労しているのも、周りの選手との連携構築が上手く行かないという理由はあるのでしょう。あとこれは、特徴であって良い悪いという話では無いのですが、京都に移籍してくる監督の教え子達、いわゆるチルドレンと呼ばれる選手達の多くが、ディフェンスラインに集中しているのも、どのような選手を育てるのを得意としているのかを表す、事実でもあるのでしょう。

 

ショー・マスト・ゴー・オン

youtu.be

 どのチームに対してもそうなんですが、シーズン最終戦に注目しています。順位がおおよそ決まった中で、そのチームがどんなモチベーションを持ってプレーしているのか、その一端が垣間見えるからです。

 京都の最後のホーム戦、その基準から言うと非常に興味深いものでした。相手であるマリノスが優勝を逃し、モチベーション的に難しかったことを加味しても、京都の選手達の試合にかける気持ちは強く、素晴らしいプレーをしていたと思います。レビューで色々と書いてきましたが、課題はあったとしても、それでもチーム一丸となって試合に臨んでいることは疑いようは無く、そこに外から口を挟むのは野暮というものです。

 来季は京都にとって3年連続の残留という新記録に挑む戦いであり、J1定着を果たせるのか重要な1年とも言えます。監督にとっても自身の価値を改めて示す大事なシーズンになります。選手の移籍が進んでいる中、一体どのようなチームになっていくのか、スタイルの変更は行われるのか、新たに成長を見せてくれる選手は誰になるのか、そしてチョウ監督の長期政権は何を京都にもたらすことになるのか。興味は尽きないところですが、最後は定番の一言で締めさせていただきます。

「京都がこれからどうなるか、見てみようじゃないか」